息子は会社の経費の使い込みを数千万円単位でしていた
玄一郎さんは、息子を愛している。
「食品業界は、1円単位どころか、1銭単位の利益を考えて生き残りをしていかなければならないレッドオーシャンです。息子の失敗で内部留保が激減してしまった。これからは、徹底的に無駄を省き効率化を追求しなければならない、そのため経営には少しのミスも許されないのです。私はできれば息子に会社を継いでほしかった。しかし、父の代から仕えてくれている役員が、“お坊ちゃんは難しいかもしれない”と言ってきたんです」
息子が会社にいたのは2年間だった。
「他の取締役や株主の手前、身内の情で息子をかばい続けることはできず、本人と話し合い、降格を打診しました。お灸を据える意味もあって、海外の工場勤務を提案したのです。すると、怒って退職してしまいました」
その後、数千万円単位の使い込みをしていることも明るみに出て、玄一郎さんは自分の子育てに自信がなくなり、うつ状態になったと言います。
「妻、娘たち、その夫たち、役員と社員に“あなたは間違っていない”と言われてなんとか生きています。娘夫婦がいうには、息子が変わったのは、結婚してから。10歳年下の派遣社員の女性と結婚してから、セレブ嗜好になったそうなんです」
会社を継いでから高級外車を買い、品川区内にタワマンを買い、子供たちを私立の名門小学校に編入させていた。
「まさか使い込んだ金でやっているとは思いませんでした。それで、今、私の大学の友人から、息子が何か始めたらしいと連絡があったのです。息子は出ていくときに、“こんな会社を、潰してやる”と言っていたことも気になります。元の商社に戻れるとも思えませんし、2人の孫も気になります。この3年間、息子は何をしていたのか、調べてください」
【息子は柄が悪い仲間と組んでいる様子だったが……その2に続きます】
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/