結婚式のスタイルが多様化するなか、「人前式」を選ぶ若い世代が増えています。伝統的な神前式や教会式と異なり、形式にとらわれず自由なスタイルが魅力の人前式ですが、親世代にとっては戸惑いや疑問もつきものです。

本記事では、人前式の基本から、親としての関わり方、マナー、よくある誤解の回避策までをわかりやすく解説します。

目次
人前式とは?|親世代が知っておきたい基礎知識
人前式の基本的な流れと所要時間の目安
親の服装マナーと注意点
親族・親戚への説明と配慮|トラブルを避けるために
最後に

人前式とは?|親世代が知っておきたい基礎知識

「人前式」は、宗教儀式にとらわれず自由な進行が可能な形式として注目を集めています。ここでは、人前式の基本的な意味や特徴、親世代として理解しておきたい背景や考え方をご紹介します。

人前式は「宗教色のない結婚式」

人前式とは、神職や牧師といった宗教者を介さずに、親族や友人の前で結婚を誓う式を指します。信仰や宗派に依存せず、結婚の誓いをゲストに見届けてもらう形式です。

会場や式の流れも定型にとらわれず、新郎新婦の意向を反映しやすいのが特徴です。「儀式としての重みが失われるのでは?」と不安を抱く親世代も少なくありませんが、まごころを込めて行なわれる点は他の挙式形式と共通しています。

なぜ若い世代に選ばれているのか?

人前式が選ばれる背景には、「自由な演出を取り入れたい」「自分たちらしさを大切にしたい」という思いがあります。また、教会や神社に限らず、レストランやガーデン、思い出の場所など会場選びの幅が広いことも魅力のひとつです。費用面やスケジュールの柔軟性を重視し、人前式を選ぶ方もいらっしゃいます。

人前式は「大切なゲストとのつながり」に重きを置いている式です。この精神には、温かく静かな節目の重みがあるといえます。

人前式の基本的な流れと所要時間の目安

式の当日、どのような順番で進行するのかを把握しておくと、親としての立ち位置や心づもりができます。ここでは、人前式の代表的な進行例と所要時間の目安を紹介し、親として見守る際に意識したいポイントをご紹介します。

一般的な人前式の流れ(例)

人前式の進行内容はカップルによって異なりますが、多くの場合、以下のような順序が一般的です。

1. 新郎新婦の入場

親と共に入場する場合もあります。扉の開閉や歩き出すタイミングなど、事前に式場スタッフから説明があるので、リハーサルがある場合は参加しておくと安心です。

2. 開式の辞(司会者)

式の冒頭で司会者が式の開始を告げます。友人が司会を務めることもあり、親世代にとっては少し砕けた印象を受ける場合もありますが、温かみを重視する人前式ならではの演出です。

3. 誓いの言葉

新郎新婦が互いに言葉を交わし合い、結婚の誓いを立てます。自分たちで文章を考えるケースも多く、個性が出しやすい部分とされています。

4. 指輪の交換

誓いの言葉に続いて、指輪の交換です。小さなお子さまやペットがリングピローを手渡す演出が導入されることもあります。

5. 結婚証明書への署名

新郎新婦および立会人が結婚証明書に署名します。親が立会人となる場合は、署名の所作を事前に確認しておきましょう。

6. 誓いのキスまたは代替演出

誓いのキスは取り入れないケースもあり、その場合は手を取り合う・ハグするなど、控えめな演出で心を伝える工夫が見受けられます。

7. 閉式の辞と退場

司会者の進行により式が締めくくられ、ゲストの拍手とともに退場するケースが一般的です。新郎新婦退場後は、スタッフの案内に従うとスムーズです。

上記の流れは一例であり、すべての人前式に当てはまるものではありません。式の進行に関する詳細は、新郎新婦や式場の担当者と事前に共有しておくと安心です。

式の所要時間はおおよそ20〜30分程度です。開式から披露宴までの動きに影響が出ないよう、余裕を持ったスケジュールが組まれています。

親の服装マナーと注意点

人前式の会場や演出の雰囲気によっては、服装の判断に迷う方もいらっしゃいます。例えば、ホテルや専門式場での開催であれば、母親は黒留袖またはシックな色味の洋装(ロング丈)、父親はモーニングコートやブラックスーツが選ばれることが一般的です。

一方、レストランやガーデンウェディングの場合は、やや控えめな準礼装やセミフォーマルがふさわしいこともあります。新郎新婦や式場スタッフに事前に確認しておくと安心です。

和装を予定している方は、着付けの時間や移動時の動きやすさについても配慮が必要です。暑さ寒さのある季節には体調面への備えも欠かせません。主役ではないとはいえ、親の装いはゲストの注目を集めやすいため、落ち着きのある装いと所作を心がけると好印象につながります。

親族・親戚への説明と配慮|トラブルを避けるために

人前式に不慣れな親族や年長の親戚からは、「どのような式なのか分からない」と疑問を持たれるケースもしばし見受けられます。誤解や行き違いを避けるためには、前もって丁寧に説明することが肝要です。

ここでは、親としてどのように式の趣旨を伝え、周囲との関係を円滑に保つかを具体的にご紹介しましょう。

説明のポイントと伝え方の例

高齢の親族・地域の風習を重んじる親戚など、伝統的な挙式をイメージしている人にとっては、「人前式は簡易的なものなのでは?」と受け止められてしまう場合があります。説明の際は、言葉を選びながら以下のように伝えると理解が得られるでしょう。

「神前式や教会式のような宗教儀式ではありません。新郎新婦のことをよく知ってくださっている皆さまに、結婚の誓いを見届けていただく式です」。また、「自由な式だからこそ、心を込めて準備をしています」という一言を添えることで、誠意や節度を伝える機会にもなります。

配慮しておきたい人への事前対応

親として気をつけたいのは、親族の中でもとくに“年長・影響力のある方”に対して、早めに説明の機会を持つことです。招待状に同封するだけでは意図が伝わりづらい場合もあるため、電話や対面で一言添えることが好印象につながります。

また、ゲストの中に信仰を大切にしている方や、従来の儀礼に強いこだわりを持つ方がいる場合には、「ご理解いただけるとうれしいです」といった表現を使い、説得ではなく“共有”の姿勢を心がけると角が立ちにくくなります。

説明を行なう際には、「最近の式はこういう形式が多いようですよ」といった情報的な口調を取り入れると、形式の違いが時代背景に基づいていることが伝わりやすくなるでしょう。

最後に

人前式は自由で温かみのあるスタイルですが、親の理解と配慮が式全体の雰囲気に大きく影響します。伝統との違いに戸惑うことがあっても、子どもたちの意思を尊重しつつ、見守る姿勢を大切にすることで、より記憶に残る結婚式になるでしょう。

監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/

構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
https://kyotomedialine.com FB

 

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