親世代の結婚式といえば、「チャペルでのキリスト教式」や「神社での神前式」、「寺院での仏前式」の印象が強かったのではないでしょうか? しかし、近年は結婚式のスタイルも多様化しており、個人の想いを反映させた自由な形式も増えています。

その中の一つに、ゲストに結婚の誓いを立てる「人前式」というスタイルがあります。人前式は、宗教や格式にとらわれることはありません。ゲスト参加型の演出が多いため、アットホームな式が叶うのが魅力です。

しかし、自由にできるとはいえ、完全に子ども任せにするのは、少々不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか? 事前に、親が人前式への理解を深めておくことで、人生の先輩として、子どもにアドバイスできることもあるでしょう。

本記事では、人前式についてや親の関わる演出、親としての心得などをご紹介します。

目次
人前式とは?
人前式で親が関わる人気演出
人前式での親の心得
最後に

人前式とは?

人前式とは、ゲストを立会人として執り行われる結婚式のことです。人前式の特徴は、主に以下の3点になります。

1:宗教色がない(神ではなく、結婚式の招待客に結婚を誓い、証人になっていただく)
2:オリジナルの結婚式が可能(好きな場所で、式中の演出を自由にアレンジ可能)
3:費用が抑えられやすい

人前式が行なわれる場所は、チャペルやガーデンが多い印象です。最近は、カジュアルなレストランや公園、キャンプ場なども人気があり、より自由度が高まっている傾向にあります。場所だけでなく、家族や友人との絆を感じさせる温かみのある演出が叶うのが、人前式の大きなメリットです。

また、他の形式の結婚式と比較すると、牧師や聖歌隊・斎王や巫女などが不要になるので、比較的費用が抑えられることもあります。これも、人前式が選ばれる大きな要因の一つといえるかもしれません。

人前式の多くは、定番のご祝儀をいただくスタイルの結婚式であるケースが多いです。しかし、中には会費制の結婚式となることも珍しくありません。

人前式の歴史

人前式の歴史は、様々な説があります。その中の一つに、人前式は、戦後の日本で「新憲法の精神をベースに考案されたもの」という説もあるようです。式中に、婚姻届に署名・押印が行なわれるのが一般的で、今の人前式の土台となっていることが伺えます。

それより更に歴史をさかのぼると、昔の日本では「人前式のような結婚式スタイルは一般的だった」との見方があります。キリスト教式や、神前式が定番化する前の日本では、自宅の床の間で挙式と披露宴のような食事会を開くのが定番でした。一説では、江戸時代頃から、そのような儀式が行なわれていたとの説もあります。

「人前式は、最近流行りの結婚式なのでは?」と思われがちですが、意外と歴史があることが分かります。

人前式の流れ

会場やスタイルによって多少の違いはありますが、一般的な人前式の流れは以下の通りです。

1:入場
2:司会者の挨拶
3:誓いの言葉
4:指輪交換
5:結婚誓約書に署名・押印
6:結婚成立の宣言・承認
7:司会者の閉式挨拶
8:退場

この中で、入場や誓いの言葉、指輪交換でオリジナル感を演出する方が多い印象です。

人前式の司会は、プロでなく友人や親族が行なっても問題ありません。しかし、人前式の司会者は、式の雰囲気を左右する重要なキーパーソンになります。司会者で、挙式の雰囲気が決まるといっても過言ではないでしょう。カジュアルな人前式であっても、司会はなるべく場慣れしているプロに任せるのがおすすめです。

人前式で親が関わる人気演出

人前式では、親子の絆を再確認できる演出が盛り込まれていることがあります。前に出るのが恥ずかしい方もいらっしゃるかもしれませんが、せっかくの機会なので、楽しんで参加しましょう。

ここでは、人前式で親が登場する可能性が高い演出をご紹介します。

入場

人前式以外の結婚式では、どのような手順で誰が誰と入場するのか、あらかじめ決められていることが多いです。しかし、人前式では、入場のスタイルを新郎新婦が自由にアレンジできます。

例えば、キリスト教式では、先に新郎が一人で入場し、その後、新婦が父親と共に入場するのが一般的です。しかし、人前式の場合、新郎新婦が自分たちの両親と揃って入場することもあります。手を繋ぎながら入場するなど、親子の仲の良さをアピールする演出であれば、会場の緊張感も和らぎそうです。

最後の身支度セレモニー

新婦入場時の定番演出といえば、「ベールダウン」が有名です。ベールダウンは、母親から子どもに幸せになるよう願いを込めて行なわれる、「最後の身支度」のセレモニーになります。

最近は、入場した新郎に親が上着を着せてあげる「ジャケットセレモニー」という演出も人気があります。ジャケットセレモニーは、いわばベールダウンの新郎バージョンです。本来は、挙式中に前に出る場面が少ない新郎の親に活躍してもらえる、貴重な機会となります。

これから新しい家族を作っていく子どもたちの門出にふさわしい、心温まる演出といえるでしょう。

ダーズンローズセレモニー

ダーズンローズセレモニーとは、12本のバラを使った「誓いの言葉」のセレモニーです。これは人前式で必ずしも行なわれるものではありませんが、誓いの言葉の演出として人気があります。

事前に、立会人であるゲストに配っておいた12本のバラを、一人ひとりから問いかけられる誓いの言葉と共に、新郎が受け取ります。それらをブーケにして、新郎自身の言葉とともに、新婦に渡して結婚が成立する儀式です。ブーケを受け取った新婦は、結婚を受け入れる返事として、新郎の胸に1本のバラを挿します。

親が立会人の一人としてセレモニーに参加する場合、大切に育ててきた子どもへの想いや、これから始まる新たな生活へはなむけの言葉を添えましょう。

例えば、新婦の親から新郎への言葉であれば、「新郎〇〇さん、私たち親にとって新婦△△は、大切に育ててきた娘です。良い時も悪い時も支え続けてくれますか?」というような内容がおすすめです。親の子どもへの温かい想いに、新郎新婦はもちろん、聞いているゲストもほっこりするでしょう。

人前式での親の心得

ここでは、人前式での親の心得をご紹介します。

会費制の人前式の場合

前段で述べたように、人前式を取り入れる結婚式では、ご祝儀ではなく会費制が導入されることがあります。会費制の人前式の場合、基本的に親はゲストとして扱われるのが普通です。その場合、親は、式の進行や披露宴パーティー中にゲストへの挨拶回りなどにいそしむ必要はない、との意見もあります。

しかし、結婚式は普段、新郎新婦のお世話になっている方が集まる場です。「親として関わりたい」と思う方は、会費制の結婚式であっても、積極的にゲストと関わるのも良いでしょう。

人前式に不慣れな親族への対応

自由さが魅力の人前式ですが、格にこだわる方や年配のゲストにとっては、その自由さに違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、今まで人前式を経験したことがないであろう年配の親族だと、人前式の雰囲気に驚かれる可能性もあります。そうならないためにも、事前に年配のゲストや親族に、式の内容を説明しておくのも良いでしょう。

最後に

比較的自由な人前式ですが、すべてを子どもたちにゆだねるのは、考えものかもしれません。親が前に出すぎるのも問題ですが、ある程度の内容は、あらかじめ把握しておくことをおすすめします。ゲストに対して配慮がない点などを客観的に指摘することができるのは、親ならではといえるでしょう。

監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/

構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
https://kyotomedialine.com FB

 

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