これから資産形成をしたいと思う人は、積立によって資産を増やしていくことになります。資産運用を取り入れながら積立てていくのであれば、NISA(少額投資非課税制度)は必須アイテムです。今回は「積立投資」にスポットをあてて、「いくらからはじめるか?」「積立金額を設定する際のポイントは?」などについて見ていくことにしましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
NISAはいくらから積立できる?
月5,000円の積立でも意味はある?
積立金額を設定するときのポイント
まとめ

NISAはいくらから積立できる?

投資というと、多額の費用が必要だと思う人もいるかもしれません。一方で、SNSなどでは「NISAは手軽に始めることが出来る」といった情報もあります。では、NISA口座で資産運用をはじめる場合、いくらからはじめることが出来るのでしょうか?

<金融機関によって異なる>

ネット証券では、最低100円から1円単位で投資信託を購入できるケースがほとんどであるのに対して、銀行などの金融機関では最低1,000円から1,000円単位で、というケースが多くみられます。積立設定の下限も同様で、100円から設定できる金融機関もあれば、1,000円から設定できる金融機関もあるということです。

NISA口座で「積立」するというと、「つみたて投資枠」でするものだと思いがちですが、「成長投資枠」でも積立を行なうことが出来ます。積立設定の下限は、「つみたて投資枠」も「成長投資枠」も同じですが、上限は異なります。

<つみたて投資枠の積立設定金額の上限>

つみたて投資枠では、毎月の設定金額の上限が10万円までとなっています。これは、つみたて投資枠の年間投資枠が120万円であり、「つみたて投資」を基本としているからです。また、成長投資枠を利用しない場合のつみたて投資枠の非課税保有限度額は、最大1,800万円です。

<成長投資枠の積立設定金額の上限>

成長投資枠は、一括投資に利用されるというイメージがありますが、積立設定をすることで毎月一定額を積立てていくことが出来ます。毎月の設定金額の下限はつみたて投資枠と同じですが、上限はありません。ただし、成長投資枠の年間投資枠は240万円までなので、240万円を超える設定をした場合、超過する部分は特定口座に積立てられることになります。また、成長投資枠の非課税保有限度額は、最大1,200万円です。

月5,000円の積立でも意味はある?

前述のとおり、投資信託であれば100円から積立てできるケースもありますが、あまり少額だと意味が無いのではないかと思うかもしれません。ここでは月5,000円の積立について、年平均利回り5%で複利運用出来た場合の、簡単なシミュレーションを、10年間・20年間・30年間でそれぞれ見てみましょう。

「トータルリターン」とは、運用益を投資元本で除して計算した数値をパーセントで表したものです。

1.年平均利回り5%で10年間、積立投資した場合の運用結果

投資元本:600,000円
10年後の評価額:775,042円
運用益:175,042円(トータルリターン29.17%)

2.年平均利回り5%で20年間、積立投資した場合の運用結果

投資元本:1,200,000円
20年後の評価額:2,037,502円
運用益:837,502円(トータルリターン 69.79%)

3.年平均利回り5%で30年間、積立投資した場合の運用結果

投資元本:1,800,000円
30年後の評価額:4,093,910円
運用益:2,293,910円(トータルリターン 127.44%)

10年間では、運用益は20年間や30年間よりもだいぶ少なく感じますが、資産運用をしなければ10年後の結果が投資元本の600,000円のみであることを考えると、175,042円の運用益は馬鹿になりません。30年間積立てると、評価額は投資元本の2倍以上となります。NISA口座で運用して得た利益は非課税ですので、運用益はそのまま受け取ることが出来ます。

月々5,000円の積立は、少額だと思う人もいるかもしれませんが、資産運用しながらコツコツと積立てることがいかに効果のある事なのかを見て取ることが出来ます。資産運用をするならば、「時間を味方につける」ことが重要です。

積立金額を設定するときのポイント

積立てる金額を、いくらにしたら良いのか迷う人もいるかもしれません。そのような場合は、「投資可能額」を把握することが重要です。一般的に月々の積立額を決める場合、月の収入から支出を差し引いた差額のうち、必ず積立てできる金額を決定しますが、その積立額すべてを投資に回しても良いのでしょうか?

投資にはリスク(値動きの幅・不確実性)がありますので、投資期間が短いと元本割れしてしまう可能性があります。そのため、10年以内に何か大きな支出(例えば車の購入や住宅のリフォームなど)がある場合、その支出のための資金を投資に回すことはおすすめできません。

<投資可能額を把握する>

投資可能額を把握するための考え方を紹介します。

1.万一何かあった時に必要な資金は確保しておきましょう。
2.10年以内に予定している大きな支出に対しての資金が準備できているか? を確認してみましょう。

準備できていない場合は投資ではなく、リスクの少ない預金口座などに積立てて資金の準備をしましょう。

3. 1と2の資金を準備してそれでも資金が残っている場合、それは10年以上使う予定のない資金ですので、長期投資が出来る「投資可能額」となります。

つまり、毎月の積立額のうち、この先10年以内に必要とされる大きな支出に対しての資金準備は預貯金で積立てて、10年以上先の支出については、積立投資に回すと良いでしょう。以上のように、「いつ」「何」のための資金を積み立てるか明確にした上で、自分の「投資可能額」把握することが重要です。

まとめ

今回は「積立投資」についてみてきましたが、いかがだったでしょうか? 自分の「投資可能額」を把握するために、資産や負債の状況・収支の状況・大きな支出の予定などを確認する場合は、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

NISAは、資産運用する人にとって必須アイテムと言えますが、投資にはリスクがあります。ルールを理解した上で、非課税のメリットを生かすために上手にNISAを活用していきましょう。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? 

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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