話し相手がいなくて、かわいそうだから……

長女は実家の近くのアパートを借り、孫娘と2人で暮らすことが決まった。法定養育費は出るが、足りないので長女は働きに出ることに。

「孫はひとりで留守番をしている。公立中学校に3年生から編入することになっているから、友達も話し相手もいないまま、一人で家にいたらかわいそう。栄養も偏ると思って、遊びに行ってあげているの。掃除や洗濯など、娘の負担も大変だと思って」

しかし、行っても孫は寝ている。昼夜逆転生活をしているのだ。テーブルの上に煮物や総菜を置き、床掃除と換気をしているという。

「それを娘は迷惑がるんですよ。干渉しないで欲しいとのことですが、娘の家賃10万円は、ウチが払っているんですよ。お金の無心をするときは下手に出て、助けてほしいと言うくせに、こちらが手を出すと怒る」

家庭内がうまく行っていない人の話を聞くと、その多くがお互いに距離が近く干渉し合っていることが多い。しかし、家族との距離感というものは、自分ではあまり気付かない。

「長女の元旦那は、距離が近すぎるからおかしい、と話していたみたいですけれど、どこもそんなもんですよね。娘たちを育てていた頃のママ友と会っているんですが、皆お孫さんの学費を出していますもん。それに、マンションの頭金、孫の留学費用、娘の家のリフォーム代とかね。ある人は、お婿さんが大きな病気になってしまって、治療費を出しているんですって。ウチは健康に問題がないだけに、良しとしなければと思っています」

蓉子さんを悩ませているのは、ここまで心を砕いて、お金を渡している長女の態度についてだ。「私はママのレールに乗って、不幸になった」「自分の行きたい人生を歩いているわけではない」と、ことあるごとに言って来るのだという。

「昔に起こったことを引っ張り出してきて、ああでもない、こうでもないって言うんです。なんでも悪いのは私のせい。主人も”オマエに任せた”としか言わない。それで、自分ばかりいい顔をしている。娘はなんか今、自己実現のためのセミナーに通いたいと言って来て、そのお金を主人に無心しているんです。嫌な予感しかしない」

娘の離婚で、蓉子さんの老後計画は大きく変わった。「夫を看取ってから、友達と旅行をしたり、楽しく過ごす」と思っていたのに、お金の余裕も心の余裕もなくなっているという。

不登校で気を付けたいのは、学びの機会が奪われてしまうことだと文科省も指摘している。蓉子さんの娘は、根深い学校不信があり専門機関に相談するなどはしていない。今後どうなっていくのかは誰にもわからないが、今後の孫の学費なども、きっと蓉子さん夫妻が支払うことになるのだろう。

孫娘は、中高一貫校を辞める決断をするまでの道のりで、きっと疲弊している。目覚めたときに、これから何をしたいと思うのか。その選択を支持する大人がいれば、きっと未来に続く道が見つかるはずだ。

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)などに寄稿している。

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