国民年金第1号の被保険者は、毎月の保険料を納める必要があります。しかし、収入の減少や失業等により、国民年金保険料を納めることが経済的に困難になることがあるかもしれません。

そのような場合、未納のままにせず、国民年金保険料免除・納付猶予制度の手続きを行なうことになります。しかし免除と猶予とでは、何が違うのか疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士 中川義敬が、長年にわたる税理士業務を通じて得た知識や経験に基づき、国民年金保険料の納付猶予制度についてご説明いたします。

目次
国民年金の猶予制度とは?
国民年金の猶予と免除はどう違う?
国民年金の納付の猶予制度を利用する条件は?
国民年金の猶予制度の申請方法や必要なものは?
まとめ

国民年金の猶予制度とは?

国民年金を受け取るには、原則60歳の時点で国民年金の保険料を納めた期間などの受給資格期間が、合計10年(120か月)以上あることが必要です。受給資格期間が足りないと、年金の受け取り可能な年齢になったとしても、年金を受け取ることができなくなってしまう場合があります。

そこで、国民年金猶予制度を利用すると、保険料の納付が猶予されると同時に、猶予期間は受給資格期間に算入されます。そのため、猶予期間と保険料納付期間を足して10年以上あれば、国民年金を受けることが可能です。

国民年金の猶予と免除はどう違う?

保険料免除制度とは、所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が、一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、本人から申請書を提出して、承認されると保険料の納付が免除になる制度です。

免除も納付猶予も、受給資格期間へ算入され、未納にならずに済むための手段というところでは共通しています。また、免除も猶予も追納が可能です。さらに、病気や怪我などで障害を負ったり死亡したりした場合、未納であれば受け取れない場合があります。しかし、免除や納付猶予を受けている期間中であれば、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取る条件に含まれる、というところが共通点と言えるでしょう。

一方、免除と猶予の大きな違いは、免除と猶予の期間が年金額へ算入されるか否かです。免除は、免除金額に応じて減額はありますが、年金額に反映されます。しかし、猶予は追納しない限り年金額に反映されません。

他にも異なる点として、対象者の範囲について、免除は国民年金に加入している方や、加入すべき方で、特に制限がないのに対し、猶予は20歳以上50歳未満であることになります。また、所得審査の対象が猶予では、本人・及び配偶者が対象になることに対し、免除では本人・配偶者に加え、世帯主も審査の対象となることが異なる点です。

※免除における年金受給額

下記免除した金額に応じて、免除された期間は全額納付したときの年金額と比較して、それぞれの金額を受け取ることができます。

・保険料全額免除… 全額納付の場合の年金額の2分の1
・保険料の4分の3の免除… 全額納付の場合の年金額の8分の5
・保険料の半額免除… 全額納付の場合の年金額の8分の6
・保険料の4分の1免除… 全額納付の場合の年金額の8分の7

国民年金の納付の猶予制度を利用する条件は?

20歳から50歳未満の方で、本人、配偶者いずれも、前年所得が下記の算式で計算した金額の範囲内であることが条件です。所得とは、収入から必要経費を引いた金額のことを指すので、収入とは異なります。

給与所得の場合には、給与所得控除後の金額が該当金額になります。

(扶養親族等の数 + 1)× 35万円 + 32万円

仮に本人の前年給与収入が150万円、妻が扶養とすると、

まず本人の給与所得は

1,500,000(収入)- 550,000(給与所得控除)= 950,000円(1)

扶養親族1名(妻)+ 1 = 2

2 × 35万円 + 32万円 = 1,020,000円(2)

(2)1,020,000円 ≧ (1)950,000円

(1)の前年所得が(2)の数値の範囲内であるため、このような場合は猶予可能となります。

国民年金の猶予制度の申請方法や必要なものは?

手続きの流れとしては、「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」を、市(区)役所または町村役場の国民年金窓口や年金事務所、日本年金機構のホームページで入手し、申請書に必要事項を記載します。上記書面をお近くの市(区)役所や町村役場の国民年金担当窓口または、お近くの年金事務所に提出します。その際、退職(失業等)により納付が困難な方は、失業した事実が確認できる証明書類の写しを添付してください。

具体的には雇用保険受給資格者証、雇用保険受給資格通知、雇用保険被保険者 離職票や雇用保険被保険者資格喪失確認通知書などです。提出期限は、すみやかに提出となっておりますが、申請が遅れても最大2年1か月前までさかのぼって申請できます。 ただし、申請が遅れると万一の際に、障害年金などを受け取ることができなくなる場合があるため注意が必要です。

また、上記手続きの方法に変えて、マイナポータルの利用による申請もできます。

まとめ

国民年金の保険料は経済的に困窮しているときは、支払うことが難しいかもしれませんが、延滞、滞納をすることはあまりおすすめしません。

国民年金保険料が納付期限までに納付されない場合、納付勧奨が実施され、それでも納付がないときは差し押さえ手続きにはいり、財産を差し押さえられます。また、督促がはじまってから指定された期限までに納付がない場合は、延滞金も発生します。このような事態を避けるためにも国民年金の支払いが難しいときは、国民年金保険料免除・納付猶予制度手続きをするのが良いでしょう。

免除、猶予を受けた期間は、あとから追納することにより、保険料の満額受給も可能です。老後の人生設計を考えるとき、年金は生活資金の下支えとなる非常に大事な財源となります。その財源をしっかりと確保するためにも、納税猶予制度についてしっかりと理解する必要があるでしょう。

●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。

日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com

構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com

 


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