家づくりのプロが指南!「一戸建て・集合住宅でできる自宅の防犯対策」

年末年始は、帰省や旅行などで自宅を数日間留守にすることから空き巣被害が増加すると言われています。さらに、警視庁が公開している「住まいる防犯110番」によると、令和4年の侵入窃盗の発生場所別認知件数は、一戸建て住宅が33.0%と最も多いそうです。そこで、100年後のありがとうを目指し「人と地球と家計にやさしい家」を設計・建築する平松建築株式会社(https://www.hiramatsu-kenchiku.jp/)は、一戸建て住宅に居住中の30歳以上70歳未満の男女全国1,000人を対象に「自宅の防犯意識と対策」について調査しました。

【調査概要】
調査期間:2023年12月6日
調査手法:インターネット調査
調査対象:一戸建て住宅(持ち家)に居住中の30歳以上70歳未満の男女全国
サンプル数:1,000人
調査機関:Freeasy

まず、「自身または家族が空き巣や泥棒、強盗などの被害に遭ったことはあるか?」尋ねました。8割(80.8%)が「ない」と回答したものの、「ある」(14.1%)、「未遂はある」(5.1%)となりました。

では、「自宅の防犯対策できているか?」尋ねました。約半数(46.8%)が「あまりできていない」と回答し、「どちらかと言えばできている」(36.9%)、「まったくできていない」(10.6%)と続き、「しっかりできている」(5.7%)は1割にも満たないことがわかりました。

自宅の防犯対策は「あまりできていない」「まったくできていない」と回答した574人に、「できていない理由」を尋ねたところ、「費用がかかる」(43.6%)、「何をすればよいかわからない」(42.3%)という回答が目立つ一方、「治安が良いので必要ない」(12.2%)、「考えたこともない」(4.4%)という回答もありました。

今度は、自宅の防犯対策は「できている」と回答した426人と「できていない」と回答した574人それぞれに、「どのような防犯対策をしているか?」尋ねました。それぞれ「自宅にいる時も玄関を施錠」(できている:78.9%、できていない:58.0%)が最多でしたが、できている人とできていない人との間には20ポイントの差がありました。

以下、できている人の対策は「玄関ドアの鍵が二重・ピッキングされにくい鍵・タッチレスキー」(できている:54.7%、できていない:24.9%)、「モニター付きインターホンの活用・設置」(できている:47.2%、できていない:30.0%)、「人感センサー付きライトの活用・設置」(できている:41.1%、できていない:25.3%)と続きましたが、どれもできている人とできていない人との間には大きな差が見られました。さらに、できていない人の2割超(23.2%)が「特に対策はしていない」こともわかりました。

職人社長・平松 明展(ひらまつ あきのぶ)が「一戸建て・集合住宅でできる自宅の防犯対策」について指南

空き巣などの侵入窃盗被害は年々減少してはいますが、それでも前出の「住まいる防犯110番」によると、3万件以上の被害があります。防犯性を高めることは大事と言っても、本調査結果からもわかるように、費用がかかるためなかなか取り入れられない人が多いようです。

しかし、泥棒や空き巣が嫌がる要素を満たすものをたくさん設置しておくと、リスクは大幅に減少することができます。泥棒が嫌がるものは何かを知り、それを予め設置しておくことはとても大事です。

そこで、今回は費用がそんなにかからなくても防犯性が上がるまたは、泥棒専門の刑事さんの意見を取り入れた「コスパ最強オススメ防犯設備・対策」をランキング形式で紹介します。一戸建ての防犯対策が中心になりますが、集合住宅にお住まいの方でも役立つ方法ですので、ぜひ参考にしてみてください。

コスパ最強オススメ防犯設備・対策トップ5

1位:窓

窓は、泥棒の一戸建ての侵入経路で1位、集合住宅では2位です。そのため、不要なところには窓はつけないことが大事です。窓が小さく、少ないと侵入されにくくなります。窓のつけ方は、居住性や防犯性に大きく影響を与えます。窓ガラスに市販の防犯フィルムを貼ったり、鍵をもう一つ別で設けたり、格子を後づけしたりすることで対策しましょう。

これから家づくりをする方は、窓を少なくする、小さくする、高め設置にする、防犯性の高いシャッターを設置する、二重ロックにする、防犯フィルム付き(CPマーク)の窓にするなども良いでしょう。

また、窓を少なくしてしまうと換気は大丈夫なのかと気になる人も多いかと思いが、換気経路含め空気の入れ替えがしっかりできるように設計したり、「WB工法(※1)」を採用したりすることで可能です。

(※1)WB工法は、夏は無駄な熱を排出させ、冬は暖房で暖まった空気が逃げないように通気を切り替えることができる工法。

2位:高い塀・植栽をやめる

高い塀や植栽は、目線を遮ったり、プライバシーを確保したりする意味で非常に有効な一方、やり過ぎてしまったり、場所を選ばなかったりすると死角になる空間ができ、泥棒にとって仕事がしやすい環境を提供してしまいます。

これから家づくりをする方は、外構は窓とセットで考える必要があります。専門業者さんなどと相談し、防犯性も取り入れられるように設計を進めてください。

既に植栽している方は、植木を剪定して見通しを良くしましょう。ブロック塀の場合は、撤去・修繕・やり替えなどに補助金・助成金を出している自治体もあるため、活用するのも手です。地震の対策をしつつ、防犯対策もできてしまうこともあります。

3位:防犯カメラとインターホン

防犯カメラは数千円~数万円で購入でき、最近では、太陽光パネルと一体化して電源不要のものやWi-Fiで接続しインターネットで映像確認できるものなどもあります。泥棒は、記憶・記録されることを嫌います。防犯カメラを設置し、「防犯カメラ作動中」などの表示があるとより抑止力が高まるため、合わせて使ってみると良いでしょう。

また、インターホンにも録画機能付きのものがあります。泥棒は、インターホンを押し、留守だったら侵入できるところがないか探して入り、モニターの録画データを消去してから立ち去るそうです。そのため、防犯カメラとインターホンは録画データをクラウド保存できるものを選びましょう。

4位:人感センサー付きライト

光は泥棒が嫌がる要素の1つです。人感センサー付きライトは、近づくとライトがつきます。建物の外周部で死角になりそうなところや勝手口、玄関などに設置すれば、ピッキングなどで侵入しようとする際にライトに照らされるため、泥棒は嫌がります。また、玄関周りに元々ついているライトを人感センサー付きに変えることも数千円でできます。

5位:防犯砂利

防犯砂利は、軽く踏むだけで大きな音を出し、侵入者の存在を知らせてくれる特殊な砂利です。これを庭やベランダに敷くと良いです。音がすると目立ち注目されてしまうため、音も泥棒が嫌がる要素の1つです。そのような意味で防犯砂利はとても有効です。

番外編

その他、防犯対策で注意してほしい3点も紹介します。

1つ目は脚立です。脚立など足場になるものを家の周りに置いてしまうと、それを使って防犯意識の低い2階に上がられることになります。必ずガレージや倉庫の中など簡単に手の届かない、見つからないところに置きましょう。

2つ目は勝手口です。家事動線の利便性から設置する方も多いですが、非常にリスクが高い設備です。特に、通風窓が上下に開くスライド窓付き勝手口ドアは、内鍵を施錠していても、網戸をカッターで切り、手を回して解錠し侵入されてしまうこともあるため、やめた方が良いでしょう。つけたい場合は、格子がついているタイプやアルミパンチングメタル(※2)などを組み合わせると、防犯性の高い勝手口になります。

(※2)アルミパンチングメタルは、金型を使って孔あけ加工を施したアルミ。

最後は、うるさく暗い立地です。静かなところならば、窓を割る音や防犯砂利を踏む音は周りに聞こえますが、幹線道路沿いの車の通りが多いところでは、多少の音が出ても紛れてしまいます。また、街灯も人通りも少ないところは何かと目立ちにくいため、泥棒にとっては都合が良いです。そのため、このような立地は特に注意が必要になります。極力近所づきあいを良くしたり、室内に誰もいなくても誰かいるように「行ってきます」と言って外出したりすると良いでしょう。電気やテレビをつけっぱなしで出かける、番犬を飼うなども良いかもしれません。

泥棒や空き巣は、光や音、記憶・記録されるもの、時間や手間がかかるものが嫌いです。そういった泥棒の性質を理解し、嫌がるものを予め設置しておくことで防犯性を高めることができます。さらには、IoT(モノのインターネット)やタッチレスキーなど便利なものを取り入れることによって、防犯性と共に生活の質も上げることができます。

職人社長・平松 明展プロフィール

19歳で大工になり、10年間で100棟以上の住宅の修繕・解体を経験する過程、丈夫な家とすぐに壊れる家の特徴をすべてデータとして蓄積。29歳で平松建築を創業し、180棟以上の家づくりを担うかたわら、地震が起これば現地へ取材に行き、一次情報から「理想の家づくり」を日々研究し続けている。
家の耐久性能だけでなく、省エネで健康な住まいをドイツから日本に導入し、「人と地球と財布に優しい大満足の家」をテーマに光熱費やメンテ費を含む生涯コストを考えた家づくりを提供中。
著書に『お金が貯まる家3.0 ~住むだけで200万円貯まる「住む得ハウス」~』(カナリアコミュニケーションズ)がある。また、2023年12月28日には新書『住まい大全』(KADOKAWA)を出版予定。
チャンネル登録8万人超のYouTubeチャンネル「職人社長の家づくり工務店」では、「失敗しない・後悔しない」家づくりの情報を毎日配信している。
YouTube:https://www.youtube.com/@hiramatsukenchiku/

※調査結果:平松建築株式会社 調べ

 

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