一度目の人間関係のリセットを行なったのは25歳のとき

果歩さんは大学を卒業して、地元のある企業に就職。営業事務の仕事を始めるが、そこで仲良くなる人に出会えず、孤独な社会人生活だったと振り返る。ストレスからさらに体重は増え、睡眠不足から肌荒れが酷くなっていく。

「地元にいい思い出なんて何もないんです。背が高くて太ってしまうと、男性から“でかい”と言われるだけでしたし。

家に月3万円を入れるだけで、家のご飯やお菓子は食べ放題になります。私が社会人になる少し前に祖母が亡くなり、母親はそこから家を出て、裁縫の教室に通ったり、知り合いの喫茶店でバイトを始めたりと外に出るようになりました。姉も家を出て、家族の目はさらに私に向かなくなりました。食べることしか楽しみがない私にはありがたかったですけどね。おかげで貯金もできましたし」

その職場で3年踏ん張り、それまでの地元での人間関係すべてなかったことにするために上京したという。これが一度目のリセットだった。

「当時は、新卒で入った会社を3年はいないと再就職は厳しくなると言われていたので、なんとか3年頑張りました。職場で仲良くできる人はできなかったけれど、ノルマもなく単調な作業は居心地が良かったし、いじめなどにも遭いませんでしたから。

私のことなんて誰の記憶にも残っていないんじゃないですかね。だからリセットは簡単でした。高校や大学には友人はいたけれど、こちらから連絡をしないでいると徐々に疎遠になっていました。

携帯のキャリアを変えて、アドレスだけでなく、番号も一新しました。当時はLINEなどもなくて、SNSもやっていませんでしたから」

携帯番号を変えたことを伝えたのは母親のみ。父親や姉や妹にも告げなかった。

「家族からしても私なんていてもいなくても一緒だろうなと思って。母親にもショートメールで“番号変わりました”と伝えただけです。母親に教えたのは、まだ家族まで完全にリセットして独りぼっちになるのが怖かったのかもしれません」

上京後に始めたダイエットで果歩さんは20キロの減量に成功する。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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