NHKで放送中の連続テレビ小説『ブギウギ』は、「東京ブギウギ」などで知られる歌手で「ブギの女王」と呼ばれた笠置シヅ子さんをモデルにした物語。大阪の小さな銭湯の看板娘から、戦中戦後の混乱を乗り越え、大スターへと駆け上った生き様を描いています。
主人公のスズ子の恋が動き出し、ますます盛り上がりを見せる『ブギウギ』。今回は、『サライ.jp』で紹介した『ブギウギ』の主人公たちのモデルとなった人物たちの来歴をご紹介します。
■1:笠置シヅ子の生涯|『東京ブギウギ』が大ヒットし一世を風靡した“ブギの女王”
『ブギウギ』の主人公、花田鈴子=芸名・福来スズ子(演:趣里)のモデル、笠置シヅ子さんは昭和の大スター。第二次世界大戦後、笠置シヅ子(当時はシズ子)さんが歌った『東京ブギウギ』は、日本全国が熱狂する爆発的なヒットとなり、彼女の力強く大きな声を張り上げて歌い踊るステージは、敗戦後の暗い世相を一変させました。
3年後に発売した『買物ブギー』はレコード45万枚を売り上げ、「ワテホンマニヨーイワンワ」は流行語にもなり、笠置シヅ子さんは「ブギの女王」と呼ばれるようになりました。
連続テレビ小説『ブギウギ』花田鈴子のモデル・笠置シヅ子の生涯|『東京ブギウギ』が大ヒットし一世を風靡した“ブギの女王”【近代史人物伝】
■2:淡谷のり子の生涯|「ブルースの女王」と呼ばれた歌姫
『ブギウギ』で、花田鈴子が憧れる歌手として登場した茨田りつ子(演:菊池凛子)のモデルは淡谷のり子さん。『別れのブルース』『雨のブルース』などを歌いヒットさせた昭和時代の歌手です。昭和12年(1937)の『別れのブルース』と、翌年の『雨のブルース』が大ヒットし、「ブルースの女王」と呼ばれるようになりました。
日中戦争が本格化し洋楽が禁じられるようになると、『別れのブルース』や『雨のブルース』は発売禁止の憂き目に。女性の服装はモンペ着用が奨励され“贅沢は敵だ”という風潮のなか、「歌手の戦闘準備であって贅沢ではない」と言い切って化粧や派手な服装をやめなかったそうです。
連続テレビ小説『ブギウギ』茨田りつ子のモデル・淡谷のり子の生涯|「ブルースの女王」と呼ばれた歌姫【近代史人物伝】
■3:服部良一の生涯|「日本レコード大賞」の創設に尽力した『東京ブギウギ』の作曲家
『ブギウギ』の登場する作曲家、羽鳥善一(演:草彅剛)のモデルは服部良一さんです。淡谷のり子さんの『別れのブルース』や、笠置シズ子さんの『東京ブギウギ』のほか、『青い山脈』など立て続けにヒットを飛ばし、日本のポップス音楽界の草分け的存在です。さらに、日本作曲家協会理事長として、古賀政男さん、平井賢さんとともに優れたクリエーターや歌手を称える「日本レコード大賞」の創設に尽力した人物でもあります。
映画音楽や舞台音楽から校歌なども作曲し、生涯で作編曲した数は優に3000曲を超え、85歳で亡くなりました。没後には、国民栄誉賞が贈られています。
連続テレビ小説『ブギウギ』羽鳥善一のモデル・服部良一の生涯|「日本レコード大賞」の創設に尽力した『東京ブギウギ』の作曲家【近代史人物伝】
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日本の音楽業界に多大な影響を与えた笠置シズ子さん、淡谷のり子さん、服部良一さん。彼らが生きた時代背景や、歴史を知ることで、連続テレビ小説『ブギウギ』をより楽しんでみませんか。
文/編集部