叔父、祖母の死により、親のこと、これからの時間を見つめ直して
さらに両親の大切さを気づかせてくれたことがあります。それは従妹の父である叔父、そして大好きだった祖母が亡くなったことでした。
「それまではそこまで両親の年齢や体調などにあまり気にしたことがありませんでした。叔父さんは病気だったんですが、従妹が泣いているところとかを見て胸が詰まってしまって……。いつまでも元気で側にいてくれる存在じゃないんだなって痛感したんです。
さらに、その翌年にはおばあちゃんが亡くなりました。本当に身を切られるような思いがしました。なんで東京に来てからも毎年帰らなかったんだろう。なんで元気なうちにもっと時間を共有できなかったんだろうと。もっともっと一緒に過ごせたのにと後悔しました。だから、両親とはこんな後悔をしたくないと強く思ったんです」
その後、就職してから初めて父親、母親の誕生日などのお祝いを東京から送るようになったそうです。しかし父親は祖母がなくなったことで結婚を勧めてくるようになったとか。
「両親の欲しいものをリサーチするためなどで、よく電話をするようになりましたね。それに、東京での友達はみんな都会っ子で田舎の雰囲気が好きな子が多いんですよ。その子を実家に連れて帰って、私の両親と友達と4~5人でバーベキューを一緒にするぐらい仲良くなりました。すっかり友達のような間柄です。
しかし、父親とは特に仲良くなり過ぎたという感じなんですが……。実は30歳を迎えたことで父親が私の合コンをセッティングしてくるんです(苦笑)。わざわざ東京の知り合いを探して、東京でセッティングしてくれて……。子供の合コンを親がセッティングって聞いたことがありますか? ありがた迷惑ってこんな時に使う言葉なんだな~ってしみじみ実感していますよ(笑)」
今年両親の還暦祝いをするために弟と一緒に家族旅行を計画して、10月に4人で金沢に行く予定だとか。
「親のために旅行を計画して、弟と密に連絡を取り合うなんて初めてのことでワクワクしています。東京で赤いちゃんちゃんこを2つ買ったんですよ。絶対両親ともに嫌がると思いますが、無理矢理にでも来てもらって写真を撮ってきます(笑)。これから一緒に思い出を残していきたいから」と佳織さんは笑顔で語ります。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。