関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。
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今回の依頼者は、源一郎さん(仮名・63歳)。現在はIT関連会社の社長をしています。元商社マンでしたが、人に騙されて転落し、ホームレスも経験。55歳で一念発起し、現在は起業して、豊かな生活をしています。
私たちには、20年前に別れた妻子がどうしているか知りたい、「一目見たい」という思いから、調査を依頼されました。
【~その1~はこちら】
保育園のお迎えに、元妻が現れる
身元調査は、まず検索から行います。SNSの本人特定が得意な探偵に依頼をしたら、現在30歳のお嬢様のアカウントを特定。
プロフィールを見ると、首都圏の国立大学を卒業し、現在は東京都心に住んでいることがわかりました。ご本人のSNSのセキュリティはかなり厳しくかけられていましたが、“友人の友人”の公開設定の投稿を見ることができました。
友人のSNSでタグ付けされている投稿から、“おそらくここに住んでいるであろう”という建物を特定。そこは高級感がある低層マンションで、住んでいる世帯も少なく、1週間も張り込めば、かなりのことはわかるでしょう。
奥様は旧姓の名前が国民的女優と同じで、検索で特定することは不可能。お嬢様を尾行して、探っていくしかありません。
お嬢様はある大企業に勤務しており、現在は2歳の女の子を育てています。お嬢様の夫は優しそうなメガネの男性で、夫婦仲はとてもいい感じです。
丸々1週間、尾行をしたのですが、お嬢様は朝8時半に家を出て、会社に向かい、夕方18時に保育園にピックアップして帰宅。朝の送りは夫が担当しているようです。
夕飯は家で食べたり、ママ友とファミレスに行ったりして、楽しそうです。ある日、いつものようにお嬢様の会社で張り込みをしていても、全く出てこない。「これはもしかすると、おばあちゃん(源一郎さんの元妻)が迎えの日か!?」とあわてて保育園に急行。18時に間に合ったものの、誰もいない。18時15分になっても誰も来ないので、見込み違いだったと思っていました。
すると、18時30分に小柄で品がいい女性がやってきました。雰囲気はお嬢様にそっくりです。マスクをしていても、美しいことがわかります。
迎えに行った後、2人はファミレスに行き、夕飯を食べます。ハンバーグ定食と、お子様ランチとデザートを食べていました。元奥様はとても美しく、とても優しい。お孫さんもおばあちゃんが大好きみたいで、食後は2人でお絵かきをして遊んでいました。
20時に娘さん夫婦が合流。グラスワインを注文し、3人で乾杯。会話を聞いていると、今週の日曜日に、4人で出かけることを話し合っていました。
【元妻はどこに住んでおり、何をしていたのか……。次ページに続きます】