取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
内閣府が行っている生涯学習に関する世論調査(令和4年7月調査)によると、学校を出て一度社会人となった後に、大学、大学院、短大、専門学校などの学校において学び直しをしたことがあると回答した人は15.1%(正規課程、公開講座や社会人を対象とした学習プログラムなどの短期の講座含む)となっている。「学び直しをしたことはないが、今後は学び直しをしてみたい」と答えた人の割合は29.3%となり、約3割の人が社会人になってからの学び直しを望んでいることがわかった。学び直しを望んでいる高齢者も多く、60~69歳では28.9%、70歳以上でも15.4%となっている。
今回お話を伺った詩織さん(仮名・43歳)は22歳のときに結婚して、義両親とは離れて暮らしていたこともあり、程よい距離感のある付き合いをしていた。夫婦仲の良かった義両親だったが、義父が亡くなったことで義母は睡眠障害を患ってしまい、詩織さん夫婦は義母の近くで暮らすことをなった。【その1はコチラ】
ただ元気な義母に戻ってもらいたい一心だった
愛知県では詩織さんは子育ての合間にパートをしていたが、義母のいる兵庫県に引っ越してからは夫に頼まれたこともあり、仕事を始めることなく義母と過ごすようになる。
「夫に頼まれたからというのもありましたが、私も義母のことが心配でしたから。しかし、いきなり義理の娘と2人きりというのもお互い気まずいと思って、とにかく義母を外に連れ出そうとしました。他人ともっと触れ合うべきだと思って。私の娘も巻き込んで、心のケアを行ってくれるもの、楽しいと感じてくれるものを探しました」
義母は病院でグリーフケア(死別に伴う悲嘆のケア)を紹介されていたものの、参加には至っていなかった。詩織さんはそれに付き添い、そして義両親の家にはパッチワークなど刺繍をあしらったものが多かったことから、刺繍の教室などの体験に連れ出したという。
「睡眠障害のお薬をもらってから、義母は元気を装うようになりました。心配をかけたくない一心だったと思います。でも、装っているだけだから、ブリーフケアなどのプログラムに参加する意欲はなかったようです。時間があるけれど、習い事も意欲的ではなかった。私はできる限り義母が通いやすい環境を作りました。車で送り迎えはもちろん、私は不器用で刺繍なんてまったく興味はなかったけれど、一緒に教室に通うようにしました」
【交通機関を使えない義母の送り迎えは私の役目。 次ページに続きます】