全ての様子が慣れており、家庭にいるようにくつろぐ
義父はそれから3時間ほど仕事に集中していました。PCの画面を見ると、アメリカの会社の社員とテレカンをしたり、書類の作成をしたりして、なかなか忙しそう。
16時になると、義父はPCをしまい、ゴミを片付けると店の外に出ていきます。スマホを見ながらニヤニヤしており、女性の気配が漂います。
スーパーの駐車場の奥にある、従業員専用駐車場に向かいました。私たち探偵は、基本的に2名ペアで行動し、片方が電車のときは、片方はバイクかクルマの移動手段を確保します。このときは、バイク移動の探偵とペアだったので、そのまま義父を追います。
義父はある軽自動車の後部座席に座りました。運転しているのは見知らぬ女性です。それから2分ほどしてから、恰幅がいい先ほどの総菜売り場の女性店員がやってきて、助手席に座ります。
クルマは発進し、スーパーから10分程度のところにある、健康ランドに入っていきました。私たちも一緒に潜入すると、平日の夕方のサービスタイムを利用して、3人はお風呂を満喫していました。
女性はパートの同僚仲間で、私も一緒にお風呂に入ったのですが、優しく寛大な“おっかさん”という感じ。2人から義父の話は一切出てきません。
男性の探偵は義父と共に入浴。広い温泉、サウナと水風呂、お風呂を出た後にグラスビールを飲み、休憩室のテーブルを慣れた様子で確保。花柄の館内着を粋に着こなしています。
そして、座布団を並べて、ブランケットを持ってきて、目にタオルをかぶせて、お昼寝タイム。
それから30分程度すると、アカスリを終えた女性がやってきて、旦那様を起こし3人で生ビールで乾杯。女性が持ってきたタッパーにはぬか漬けがたっぷり入っており、心から楽しそうにそれらを味わっています。
先ほどまでダンディでカッコつけていた人物が、家庭にいるようにくつろぐ姿に、私たちもほっこりしてしまいました。22時過ぎに健康ランドを出て、女性のクルマで最寄り駅へ。
その後、3日間調査をしましたが、義父の行動はすべて似たり寄ったり。
女性がいないときは、タクシーを呼び、健康ランドに行っていました。
依頼者・麻里子さんに報告すると、最初は大変驚き、さらにショックを受けていました。
「義父は、家庭の温かさというか、家族の親密さに飢えていたのかもしれません。衛生観念がルーズな義父をバイキン扱いしていたこともありました。トイレやタオルの使い方や、脱いだ服の置き場なども、つんけんしてしまっていたかも。最近、義父から距離を置かれているような気がしたのは、このせいだったのですね」
今後は、家族として暮らすために、もっと距離を縮めていきます、と話していました。
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/