養育費を理由に家に一切お金を入れない兄
兄は不倫をしたことでお店も辞めることに。すぐに新しい仕事先は決まったが、給料が以前よりも下がったこと、そして養育費などを考えて実家に戻ってきたという。兄は実家にいる間一銭も家にお金を入れていなかった。
「兄は元々明るい性格であっけらかんとしているんですけど、昔は好きだったその性格に、私はイライラするようになっていました。『もっと申し訳なさそうにしろよ!』って。
家の冷蔵庫のものを食い漁るし、家の用事も一切しない。それなのに家に1円も入れていませんでした。父親がいつも仕事終わりに楽しみにしている晩酌のお酒を兄も飲むようになって、父親が自分のお小遣いで補充している姿を見るたびに、早く家を出て行ってほしいと思っていました」
兄が戻ったその2年後に夏美さんは大学を卒業。実家から就職先に通うようになる。家を出ることも考えたが、「兄に優しい両親が食いつぶされる」と思い、家に残ることを選択した。
「私がいないと、兄の独壇場になってしまうと思って、それを阻止したい思いで残りました。私は少ないですが、家には毎月3万を入れるようにしていました。自分が社会人になって、やっと同じ立場になったことで兄にもちゃんと家にお金を入れるように伝えたんですが、『養育費があるから』と。どんなに文句を言ってもまったく堪えていないようでした」
兄は30歳のときに女性と同棲するために実家を出たという。そのときにお金の無心は一切なかったが、そのときから兄は消費者金融に手を出していたそう。その事実は、父親が病気で亡くなった後に露見した。
「兄が出て行く少し前に父親の病気が発覚して、仕事を休職して入院していました。今振り返ると、父の状態もあって兄は親にお金を頼むことができなかったんだと思います。自分でなんとかしようとしていたのか、落ち着いてから借りようとしたのかはわかりませんけど。でも、その借金は最悪な状態でわかることになるんです」
同棲した女性によって、余計な借金が積み重なっていく。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。