息子は海外単身赴任、嫁が留守中に金をせびりに来る
珠子さんの息子はプラント関連の会社に勤務している。長期の海外勤務になることもあり、嫁はことあるごとに金をせびりに来たという。
「一緒に海外についていけばいいのに、英語ができないなどと言って、日本にいる。息子もバカだから言いなりで、好きにさせているんです。あれは絶対に男がいる。探偵にでも調べさせて別れさせたいんだけど、息子はあの女にメロメロ。高い探偵代を払ったところで聞く耳を持たない可能性のほうが高いんです」
嫁の所業を聞くと、聞くに堪えない。結婚から半年後「妊娠した」と珠子さんのところに来た。そして、「海外にいるひろたん(息子)からの送金が間に合わないので、妊婦検診の費用を10万円貸してほしい」と言う。珠子さんが断ると「では、お腹の子供とともに自殺します」と言う。
「私はウソだと思って追い帰そうとしたら、夫が奥からすっ飛んできて“これを持って行きなさい”とお金を渡しちゃったんです。夫は孫を望んでいたし、嫁の豊満な肉体が好きだったんでしょうね」
その後も少しずつお金をせびりに来ては渡していた。断ると「死にます」というので出してしまったのだという。孫を楽しみにしていたが、一向にお腹は大きくならず、「流産しましたのでお金をください」と言われた。おそらく、嘘だったのだろう。
「あの頃は、お金はあった。私たちも“頼れる義母・義父”と思われたかったのかもしれない。本格的にお金が無くなったのは、息子が“600万円貸してほしい”と泣きついてきたこと。嫁があちこちから借金し、会社まで取り立ての電話がかかるようになったんです」
自慢の息子の一大事であり、家から不祥事を出すわけにはいかないので支払った。借用書も書かせ、返済計画も立てさせた。借金の原因はホストクラブだったという。
「それでも息子は離婚しないんですよ。離婚を切り出すと、大騒ぎされるとぼやいていました。もう、お手上げ。“私たちの言う通りになったでしょ”と喉元まで出かかりましたが、息子が気の毒なので、呑み込みました」
珠子さんは、ウチの嫁は「映画『ハウス・オブ・グッチ』のパトリツィアに似ている。目的のためなら手段を問わない。ただ、パトリツィアと異なるのは、おつむが弱いこと」と言った。
【家から次々とモノがなくなり、鍵を付け替えた……後編へと続きます】
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)などに寄稿している。