高校デビューのためにリンゴしか食べず、下剤を毎日摂取していた
勝気な性格で友人もいて、異性からもモテていた。順風満帆な学生時代かと思われたが、中学に入ると一転、いじめの対象になったという。
「中学になると学区が一気に広がって、他の小学校で目立っていた人たちが一堂に集まってきた。その新しいヒエラルキーの中で、自分の位が全然上じゃなかったことに気づいたんです。他の小学校から来た陽キャ(陽気なキャラクター)の人たちと最初は仲良くしていたのに、何が悪かったのかもわからないままある日から急に仲間外れにされて、そこからどんどん暗い人間になっていきました。
見た目を気にしなくなったのも、中学生のときから。好きなジャンクフードを食べて、肌はニキビいっぱいで太って……。習い事もサボるようになって、そのことで一度母親と大きなケンカになったんですが、私があまりに強く言い返したものだから、母親はそこから何も言って来なくなりました。言いにくいけれど、お風呂に入るのも面倒になった期間もあります。当時は臭かっただろうな……」
付き合うグループや、容姿が変わると今までちやほやしてくれていた異性は一気にいなくなった。しかし、高校進学という機会によって、茜さんは再び華やかな学生生活に戻ることができた。
「勉強は普通にできたんです。私は進学する学校のレベルを落として、少し下のレベルの高校に入学しました。中学のときに志望校ごとに集まって対策する勉強会があったんですが、そのときに集まったのはまったく今まで関わり合いになっていない子たちで、新しくスタートするならココだって思いました。
高校はレベルを落としたことで受験に苦労することなく合格できて、そこから進学までの期間で必死にダイエットしたり、メイクを勉強したり、髪を少し明るくしたり。そのときにダイエットとして使用していたのが下剤でした」
下剤を使用して、食べるものはリンゴのみ。中学生でマックス60キロ後半までいった体重は51キロになっていた。
「当時はリンゴダイエットが流行っていて、進学してからもしばらくは母親に頼んでお弁当はリンゴだけにしてもらっていました。進学して2か月ほどで40キロ台になれて、無事一軍と呼ばれる女子グループに入ることができていました」
体重、そして美に支配される生活は社会人になってさらに酷くなっていった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。