取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたこと、親について、そして子供について思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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厚生労働省が令和 元年に実施した「国民健康・栄養調査」報告によると、痩せの者(BMI<18.5kg/m2)の割合は、男性 3.9%、女性 11.5%であり、女性の痩せの割合が高いことがわかる。この結果の 10 年間の傾向を見ると、男女とも有意な増減はみられず、女性に痩せの割合が多いのは今に始まったことではないという。さらに、20 歳代女性の痩せの者の割合を見ると 20.7%というさらに高い結果になっている。
今回お話を伺った、茜さん(仮名・42歳)も小さい頃からダイエットを繰り返し、摂食障害やアルコール依存などを繰り返していた。中学から高校にあがる頃に手を出したのは下剤。60キロ後半までいった体重は高校生活が始まった頃には40キロ台になっていた。【~その1~はコチラ】
祖母の家の下剤を盗み、体形をキープしていた
高校1年の入学時から始めたリンゴだけのお弁当は夏休み前まで続いた。そこまで極端な痩せ方ではなかったことから母親は特に何も言わなかった。下剤の入手先は祖母の家。そのことにも母親は気づいていなかったという。
「母親と一度大きなケンカをしてから、そこまで強く言ってくることはなくなっていました。それに母は私が太っていくことのほうが嫌そうだったので、お弁当をリンゴだけにしてほしいとお願いしたらその通りにしてくれていました。
下剤の入手先は祖母の家です。祖母の家は薬が入ったお薬箱が届き、なくなったものを補充してくれるサービスを利用していて、祖母も便秘気味で薬に頼っていたところがあったので、バレずにそこから下剤を拝借していました。両親も気づいていなかったと思います。よくお腹を下す子だなって思っていたくらいじゃないですかね」
下剤の使用を止めると便秘になってしまうことから、アルバイト代で自ら下剤を購入したりもしていた。そんな生活を続けて、学生時代は体重46キロ前後をキープ。しかし、社会人になって再び激太りをしてしまう。体重は70キロ台になっていた。
「ストレスですかね……。短大を卒業して、そこから飲食店を展開している企業に就職して、あるレストランに配属されるんですが、そこは23時まで営業しているところで数名の社員で閉店作業を回さないといけないから、週の半分以上は帰宅が0時過ぎになりました。そこから夜食を食べるから太ってしまいました。お店でも一応まかないの夕食は出ているんですが、夜までもつわけもなくて。空腹のままベッドに入ると眠れなくて、そこから仕事であった嫌なことが頭の中をグルグル回ってきて、より眠れなくなりました。それが、夜食を食べると心まで満たされた感があって何も考えずに眠れた。最初に支給された制服が2か月後にはまったく入らなくなっていました」
【「したいことは自分で決める」その思いが招いたアルコールへの依存。次ページに続きます】