精神科医の和田秀樹さん(63歳)が高齢者の新たな可能性について綴った『シン・老人力』(www.shogakukan.co.jp/books/09389117)。読めば勇気と元気がわくと話題の同書から、高齢者がいつまでも若々しく自分らしく生きるために、「口グセ」にしてほしい言葉について、和田さんが紹介します。

文/和田秀樹

日光を浴びることを習慣づける

「しょぼくれ老人」への近道となる「意欲の低下」を防ぐために、お勧めしたいのが日光浴の習慣です。

脳内で、意欲と密接に関係している神経伝達物質、セロトニンは光を浴びると体内にたくさん作られるからです。
うつ病の治療法のひとつ、人工的な強い光を一定の時間浴びる「光療法」は、光を浴びることでセロトニンの分泌が増えるので、症状の改善に効果があります。

家にこもっていると鬱々とした気分になってくるものですが、光を浴びてセロトニンを増やせば、やる気や意欲が出てきます。

「ちょっと出かけてみるか」と、一日に一度は部屋の外に出て、日中の明るい光を浴びる習慣をつけましょう。散歩でもスーパーへの買い物でもいいのです。15分くらい日光を浴びるだけで、高齢者の意欲減退を防ぐには効果的です。

定年後は通勤の習慣がなくなるので、意識的に外に出る習慣をつくってください。天気がいいのに一日中部屋の中にいることだけは避けましょう。

ぐっすり眠れるようになる

もっとも高齢になればなるほど、紫外線によるシミが残りやすいので、長時間、日光を浴びる必要はありません。日傘などの対策をして、スーパーへの買い物に行くくらいでも十分です。

さらに言うと、日光浴にお勧めの時間帯は朝です。

というのも、光を浴びてつくられたセロトニンが原料となって、睡眠ホルモンであるメラトニンが増えるからです。夜になるとセロトニンがメラトニンへと変換されるので、光を浴びてセロトニンをたくさん生成しておきましょう。

日中、私たちが活動するためには、逆にメラトニンの分泌を抑える必要がありますが、そのスイッチ役となるのが日光です。つまり、朝の光を浴びる生活はメラトニンの分泌や量を調整してくれるので、体内リズムは正常に保たれ、ぐっすり眠れるようになります。

* * *

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和田秀樹(わだ・ひでき)
精神科医。1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は川崎幸病院精神科顧問、ルネクリニック東京院院長などを務める。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。著書に『80歳の壁』『70歳が老化の分かれ道』など多数。

 

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