遠距離という出来事があったから、2人の関係は継続できた
恵理子さんは大学のときに上阪。夫とは1年以上の友人期間を経て、恋愛関係になった。夫は実家から通っていて、付き合った当初は恵理子さんの家に入り浸っていたという。もちろん、レスではなかった。
「大学に近い1Kの狭い部屋だったので、体のどこかが触れ合っていました。お金もないから、いつも家にいましたね。何もすることがないから、自然とそういう時間も増えたというか。
夫は大学時代はどちらかというとモテるタイプの人で、異性の友人も多かった。彼女とあまり長く続いたことがないと友人の期間に聞いていたので、私ともそこまで長く続かないんだろうなって思っていました。付き合って1年ぐらいで会話もないような危機もありましたし」
そんな危機を救ったのが、遠距離。就職活動の最中で父親の病気が発覚して、恵理子さんは地元で就職することを決意する。その決意を相手も応援してくれ、そこから仲が深まっていった。
「遠距離になることがわかってから、残りの大学生活を少しでも一緒にいようとなって、2人の時間を大切にするようになったんです。お互いに就職先が決まった後には色んなところに旅行も行きました。お金がないから夫の実家の車で車中泊するような旅もありましたね。夫の両親とも挨拶をして仲良くなっていったのはこの頃。車を借りたり、旅費を出してもらったり、一緒に食事をしたり。義両親はどこか父親に似ている、温厚な人たちという印象でした」
遠距離になる前は付き合った当初のような気持ちが戻っていたという。しかし、性関係については旅行先であるかどうかという状況に。「あの頃から非日常のシチュエーションがないと不可能になっていた」と振り返る。そんな2人が夫婦になった後、夫婦生活は子どもを作るための手段となってしまった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。