取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。

優秀な兄と比べられなかった。両親は自分に興味がないと思った

今回お話を伺った、夕子さん(仮名・41歳)は、36歳の時に長年友人だった男性と結婚。現在は埼玉県で13歳になるお子さんとの3人暮らしをしています。夕子さんは2度目の結婚でお子さんは元旦那さまとの間に授かった子どもとのこと。現在の家族関係に悩んでいて、子どものことでどこか旦那さまに遠慮してしまう気持ちを拭うことができないんだとか。

「夫と息子の間に今会話はまったくありません。息子は私ともそこまで会話があるわけじゃないので、思春期だからということもあるとは思うのですが。息子のことを夫に相談したくても、本当の子どもじゃないのにと、私自身どこか遠慮してしまうところがあって……」

夕子さんは埼玉県出身で、両親と2歳上に兄のいる4人家族。優秀な兄と比べられることはなかったそうですが、比べられないことにどこか複雑な感情を抱えていたと言います。

「兄がとても優秀だったんです。勉強もできて、スポーツも万能で、背も高くて。バレンタインの度に何人もの女の子がチョコを持って実家に来ていました。両親は元々そこまで勉強をしろというタイプではなくて、兄も家では机に向かっている時間よりもゲームをしている時間のほうが多かったのに。

それに比べて私は何をやっても普通。勉強はまだそこそこできたけど、目立つほどではないし、特にとりえもなかった。そんな中、一番嫌だったのは、悪い成績をとっても両親から怒られなかったこと。兄にだったら何か言っていたはずなのに私には無反応で。私には興味ないんだなって思っていました」

それでも家族仲は良好で、やりたいことは何でもさせてくれていたそう。今、両親への感謝を夕子さんは口にします。

「兄よりも私のほうが習い事をたくさんしていました。ピアノに習字に水泳を習っていました。どれも私がしたいといったもので、数年でやめてしまったものもあったけど、ピアノは10年ちかく習っていたかな。今になって思うんですが、月謝ってバカにならないですよね。子どもの頃にお金のことで何かを諦めたことなんて一度もなかった。父親は普通のサラリーマンで、母親も週に何度かパートに行っていて、結構大変だったんじゃないかなって。大人になったからこそわかるんですが、ありがたい気持ちでいっぱいですね」

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