一度気になったら解決するまで次に進めない

コロナ禍から強迫観念と強迫行動に悩まされていたというが、「小さい頃から似たような症状はあった」と歩美さんは振り返る。

「私はキレイ好きというか、物を片付ける場所が1つ1つすべて決まっていました。その場所に物がないと寝ないで朝まで探したりしていましたね。小学校の頃はお道具箱の中の物の位置もすべて決まっていて、人に物を貸すのが大嫌いでした。使ったらすぐに返してほしくて、なかなか返してくれない子がいたらケンカをして。それがきっかけで仲間外れにされたこともありました」

大人になってからも気になったことがあるとその他のことを疎かにしてしまうこともあったという。

「事務の仕事をしているんですが、チェックする資料のグラフなどの数字の部分のほか、句読点の位置や助詞の使い方に違和感があると、資料を作った本人に確認していました。1つ気になるとすぐに確認してしまっていたので、その行動を何度も繰り返してしまいます。もちろん、我慢したこともあるんです。そのときに気になること1つ1つに付箋を貼ってまとめて確認したら、付箋だらけの資料を見て『嫌がらせ?』と言われてしまって。その人は私に何も頼まなくなりました。

その直接のやりとりがリモートになって、チャットのやりとりだけになったので、とても楽だったんですけどね」

歩美さんは28歳のときに結婚をして、31歳のときに離婚している。相手は潔癖気味で神経質。「似たようなタイプで一緒にいると楽だった。でも、相手はそう思ってはいなかった」と歩美さんはいう。

「仕事の取引先の方で、いつも電話だけのやりとりだったんですが年末にみんなで一緒に飲むことになってそこから意気投合して結婚に至りました。元夫は8歳上で一人暮らしも長かったから家でのルールが決まっていて。そのキッチリしているルールが私には合っていたんです。

でも、私のルールは相手に合っていなかった。それだけです。一方的に『お互い疲れるだけ』と言われ、離婚に至りました」

離婚後に初めて一人暮らしをスタートさせる。コロナ禍もあって孤独だったものの、気楽だった。そんな暮らしに、熟年離婚した母親が押しかけてくる。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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