取材・文/柿川鮎子

関東甲信地方では「非常に多い」と予想された、今年の花粉の飛散状況。そろそろ終わりが見えてきた頃で、ほっとしている人も多いはず。高田馬場動物病院 by アニホックの院長、高木大先生は「犬のアレルギーのひとつとして花粉もあります。人間だけでなく愛犬も花粉症になりますよ」と教えてくれました。今回は高木先生に、愛犬の花粉症と免疫力アップのための方法について詳しく教えていただきました。

花粉症は花粉が原因のアレルギー症状

春先になると高田馬場動物病院でも、花粉症について相談に訪れる飼い主が増えると高木先生は言います。

「アレルギーの一つとして花粉のアレルギーがありますが、愛犬がくしゃみをしていたり、目の周りが赤くなったり、皮膚をかいたりして、『もしかすると、うちの子は花粉症なのでしょうか?』と、心配になって動物病院に来られる飼い主さんが増えます。

花粉症の症状として飼い主さんが特に気にされるのはくしゃみです。ふつうの、異物を除去しようとするくしゃみとは明らかに違う出方をしたり、散歩中に突然、連続してくしゃみをして、止まらなくなったりします。

花粉症は花粉が原因のアレルギー症状なので、犬によってもそれぞれ症状の出方は異なります。くしゃみだけでなく、皮膚がかゆくて、長時間、かいてしまい、口元や目元が赤くなってしまい、飼い主さんが慌てて来院されるケースも多いです」

飼い主以外の人の目が役に立つことも

「アレルギーの原因となる物質は花粉以外にもハウスダストや金属、化学物質など、いろいろあります。身近なものとして、特定のドッグフードがアレルギー源になることも多いです。検査をすれば何がアレルギー源なのかすぐにわかるので、気になったら動物病院で相談してみてください。

あと、くしゃみや皮膚が赤くなるなど、飼い主さんが見て明らかに異常とわかるアレルギーならばよいのですが、気づかずに見過ごしてしまうケースも少なくないです。放置して、症状が悪化してから病院に駆け込まないよう、異常を感じたらすぐに来院して欲しいですね」と高木先生。

先生によると、飼い主がドックトレーナーやトリマーなど、犬の専門家から「この子、もしかするとアレルギーが出ているのではないですか」とアドバイスされて、検査を受けるケースが増えているとのこと。家族だけでは気づかない異常を、第三者の目で教えてくれる機会はありがたいもの。病気の早期発見に繋がりやすくなるので、できるだけ愛犬を多くの人に触れさせるのも、健康を維持する秘訣のひとつかもしれません。

アレルギーの治療は症状を抑えること

また、実際に花粉症などアレルギー症状が出た場合、治療は基本的に症状を抑える効果がある薬などが処方されます。人間と同じで、根治するのは難しく、高木先生も、「飼い主さんから、完全には治らないのでしょうか? とよく聞かれますが、基本的に症状が軽くなるような治療が中心で、ほとんどの場合、完治は目指していません」とのこと。

アレルギーは身体の中で起きている免疫反応の異常により症状が出るため、高齢になって症状が抑えられるケースもあります。

「完全に治そうと思うと、飼主さんも愛犬も辛くなってしまうので、気長に、症状が出ないことを目指すように、アドバイスしています。

人間の花粉症と同じで、なったら自然に受け入れるのがいいと私は思います。時々飼い主さんが『この公園に行くと、ひどくくしゃみばかりするんですよ』と言われることがあるので、そういう場所に極力行かないようにするなどの工夫で、ある程度、症状が抑えられます。

また、飼主さんもアレルギーを受け入れて、症状に慣れてくると『ここへ行くとダメ』とか、『こういうものを触るとダメ』という異常を察知できるようになれば、愛犬の負担も軽くなって、快適な生活を送ることができます」

よく運動をして、よく遊ぶのがアレルギーに効果的

花粉症の場合、治療期間は1シーズン、3~4か月程度。症状を軽くするような薬が処方されます。高木先生の高田馬場動物病院では、体重5キロの犬で1日の薬代が最高で250円程度、月5000~7000円。皮膚炎があまりにもひどくて、抗生剤を処方したりすると、さらに治療費は高くなるので、治療の目安にして欲しいと高木先生は言います。

高木先生は、治療よりも、むしろ日常生活で愛犬の免疫力を上げるような習慣が大切だと考えています。そして、アレルギー対策では、なるべく「ならないように。そして、ひどくならないように」がポイントだと言います。

「愛犬が大好きな散歩を楽しくできて、飼い主さんが愛犬とよく遊んであげることが、実はアレルギー予防になっているのではないか、と感じます。実際、運動量の多い子や、飼い主さんとよく遊ぶ時間が長い子は、免疫力が高くなり、病気を跳ね返す力があると、感じます。

愛犬がストレスをためずに、大好きな飼い主さんとのびのび過ごせることこそが、病気の予防や対策になっている気がします。

あと、人間だと腸内細菌のバランスが健康の秘訣などとよく言われますね。コロナが流行った頃、発酵食品が体に良いとブームになり、納豆が完売しました。でも、犬が発酵食品を食べて免疫力が上がるというエビデンスは、今のところありません。

食べ物の例が出たので、ドッグフードについてですが、価格が安すぎる商品はおすすめしません。私は、安心できるメーカーのフードが良いとおすすめしています。最近はアレルギーに配慮した原材料を使っているものもあり、かかりつけの獣医さんと相談してその子に合ったフードにする方が良いでしょう」

蚊が発生する夏に向けて、そろそろ愛犬のフィラリア対策が近づいてきます。「この予防薬でアレルギーが出る子も多いので、与えた後、異常が無いかを確かめてみるのも良い」と高木先生。特にアレルギー症状の出やすい犬種として、柴犬とシーズーが目立つと教えてくれました。この2犬種の飼い主はぜひ高木先生のおすすめする、散歩と遊びを充実させてみては。

獣医師・高木 大(たかぎ だい)先生

株式会社TYLが運営する高田馬場動物病院 by アニホック院長。2016年麻布大学卒業。2020年に動物病院勤務兼、日本獣医生命科学大学・全科研修医勤務。22年8月から現職。
高田馬場動物病院 by アニホック:東京都新宿区高田馬場2-8-26、興和ビルディングB1F-1F
病院URL:https://anihoc-group.com/hospitals/takadanobaba/

取材・文/柿川鮎子 明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

 

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