シスターフッド(女性同士の連帯)を描いた映画やマンガがヒットし、女性同士の友情が注目されている。しかし、現実は、うまくは行かない。これは女性の友情の詳細をライター・沢木文が取材し、紹介する連載だ。

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多様化の時代に、注目されている考え方がフェミニズムだ。『大辞泉』を引くと、「女性の社会的、政治的、経済的権利を男性と同等にし、女性の能力や役割の発展を目ざす主張および運動。女権拡張論。女性解放論。」とある。日本では明治末期から活動を開始した思想家・平塚らいてう以降、多くの論客が登場し、研究や実践、啓蒙活動が行われている。

「いいとは思うんですけれど、私達には関係ないんですよね……」と話すのは、地方都市に住む信子さん(63歳)だ。高校時代からの友人・純子さんが熟年離婚をして地元に戻って来た。純子さんから離婚をそそのかされることに困惑している。

【これまでの経緯は前編で】

浮気を繰り返し、暴言を吐く夫を無視する息子たち

信子さんは純子さんから繰り返し「離婚して、自分の人生を取り戻しなよ」と言われている。純子さんは熟年離婚して東京から地元に戻って来た。そして、高校の同級生である信子さん、涼子さん、由美さんという地方社会に生きている女性のグチを話す会に来るようになる。そして、彼女たちが家族のために我慢をしている現状に怒り「離婚をして、自分の人生を取り戻せ」と発破をかけるようになったのだ。

「どのご主人も似たり寄ったりだ」という信子さんの夫の行動を詳しく聞いた。

「主人は外では人当たりがよく、仕事もできる。町内会やPTAに参加して、外ではいい夫・いい父を演じているのですが、家では気難しい。定年退職してから5年間、仕事はしてくれているんですが、以前に比べてささいなことでケンカを吹っかけてくる回数が増えました」

テレビをつけっぱなしにしている、くだらないドラマを観ている、外出の時間が長い、高い化粧品を購入した、太っている、邪魔だ、オマエはいつもそうだ……信子さんに夫が吹っかけるケンカの内容を思い出してもらうと、いちゃもんをつけているとも言える。

「私がごめんなさい、と謝ってご機嫌を取っていると、それ以上発展しないので、ずっとそうしている。ウチの会話は主人が怒鳴って、私が“ごめんなさい”と言うだけ」

当然、愛はない。それは約40年前、結婚当初にさかのぼる。当時は「結婚するまで体を許してはならない」と親から教え込まれていたそうだ。23歳で結婚した信子さんには、性交渉は痛みと屈辱感しかなく、やがて拒否するようになった。

「逃げていたんだけれど、酔って帰ってきて組み伏せられる。早く終わってほしいと思いつつ、終わるとグーグー寝ちゃうでしょ。悲しいやら憎たらしいやら。隣で子供が泣いてもお構いなしだったのよ」

夫は当然のように浮気をした。相手の女性は信子さんの知人が多かった。複数の女性にかなりの金品を貢いでおり、その頃から生活費を渡さなくなった。

「私もお勤めをさせてもらっていたから何とかなったの。あの月17万円の給料がなかったら、子供を育てることはできなかった。それでもお兄ちゃんの野球部の遠征費だなんだって足りなくて、実家からずいぶん援助してもらったの」

当然、家事はしない。これ見よがしに、テーブルや床に牛乳や酒をこぼし、食べかけの皿を放置する。信子さんが朝、弁当を作りバタバタとキッチンに走ると、わざと作業がしにくいように放置されていることもあるという。

「いちど、主人に“自分が使ったものは、自分で洗え”と、シンクにそのまま残しておいたら、 “オマエは女だろ。洗い物はオマエの仕事だ。俺にやれってこと?”と怒鳴られたの。私が弁当のことを言うと、“オマエの子供なんだから当たり前だろ。いつまでも甘やかすからあいつらは結婚しないんだ”と」

息子たちは幼いころから、聞こえないふりをしているという。そして、息子たちも一切の家事をしない。信子さんがそれを教えなかったからだ。

「いずれお嫁ちゃんが来たら、やってくれると思っていたのですが、いつまでたっても家にいるんですよ」

そして、63歳の今でも、たった一人で、夫や息子たちの衣類を洗濯している。それが当たり前なのだ。家族は一切、信子さんの話を聞かない。だから信子さんは似たような境遇の女友達とおしゃべりをして発散するのだ。

【「女性の権利を蹂躙している」と怒られても……次のページに続きます】

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