演技力があり「なんでもアリ」だから稼ぎ頭

20時になると、都内の繁華街にあるキャバクラのようなお店に入っていきます。そこは、店内の個室で“ごっこ遊び”や疑似恋愛にも似た濃厚なサービスを展開するお店。

ペアの探偵が中に入り、指名をすると「あの子はちょっと人気で、今日は入れないんです」と断られてしまったとのこと。お店の男性スタッフは、「ちょっといないスリムな体型でしょ。それにお医者さんのお嬢様なんですから」と言っていたそう。聞けば、演技力も技術力も高く、お店の稼ぎ頭だと言います。

おそらく、月に100万円は稼いでいると推測しました。

店が24時に終わると、300mほど歩いたところにある、雑居ビルのスナックに入っていきます。そこは、いわゆるヤカラ風の男性と派手な女性が多い店です。娘は深夜3時に立てないほど酩酊して店から出て来て、タクシーに乗り帰宅。昼から甘いドリンクしか口にしておらず、娘の健康状態も心配になってしまいました。

以上を依頼者・太朗さんに報告をすると、みるみる顔が真っ青に。娘が性産業のお店で働いていることを知ると、ハンカチで口を押さえ、トイレに駆け込んでいました。

これは、パートナーの浮気の現場を見た人などにもよくある反応です。

「これは、どうしたものでしょうか。想像を上回るほどひどい現実です。父親として何ができるのか……」

ついでに元妻の行動を調べると、20歳年下、31歳の無職の男性と娘のことはほったらかしで恋愛していることがわかりました。これには太朗さんも激怒していたのです。

「ホントに使えない女だな……娘を救ってやりたいが、僕がしゃしゃり出ても、娘は拒否する。それが怖い。でも、話をしてみます」と出ていきました。

その後、太朗さんは娘と話したところ、娘は「性産業で稼げるのは今のうちだから、頑張るつもり」とモチベーションを見せたのです。その理由を聞くと、「パパはずっとママに対して、稼げない奴は人間のクズって言っていたじゃない」と言います。

娘は「私、バカだけどクズじゃないから。パパくらい稼ぐためには、この仕事しかない」と続けたそうです。

「しかも、娘は16歳の頃からパパ活をし、18歳から今の仕事をしているそうです。性感染症にも何度かなっており、慣れっこになっていると言ったんです」

性産業に従事していると、心が疲弊する。そこで、若手俳優の推し活や飲み屋でうっぷん晴らしをしているとか。

夫婦の立場が公平でなかったり、どちらか相手を見下す態度を取って、家庭が安らぎの場でなくなってしまうと、心に問題が生じてくる。出生率の低下には、そんな家庭に育ち「子育てに前向きなイメージが持てない」人が増えていることも関わっているようにも思えます。

探偵の仕事をしていると、太朗さんの娘のように強権的な父、バカにされ続ける母という一種の「機能不全家族」で育った人が多いことに気付きます。相手のすべてを愛し受け入れる……これがとても難しく、条件ありきの結婚では、実現しにくいことを感じました。

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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