写真はイメージです

取材・文/沢木文

親は「普通に育てたつもりなのに」と考えていても、子どもは「親のせいで不幸になった」ととらえる親子が増えている。本連載では、ロストジェネレーション世代(1970代~80年代前半生まれ)のロスジェネの子どもがいる親、もしくは当事者に話を伺い、 “8050問題” へつながる家族の貧困と親子問題の根幹を探っていく。

* * *

夕飯を食べ、風呂まで入って帰宅する娘夫妻

埼玉県内に住む妙子さん(仮名・71歳)は、38歳になる娘一家の依存っぷりに頭を抱えている。

「娘はふたりいて、43歳の長女夫妻は本当に出来がいい。長女は霞が関の官公庁に勤務しており、婿は研究職。実家の援助を一切受けずに、都内にマンションを買って、小学生の一男一女を育てながら、私たちに盆暮れの付け届けをしてくれるんです。問題は次女なんです」

とはいいつつ、長女夫婦の他人行儀なところに、かつては不満を抱いていた。

「長女が結婚した婿さんがしっかりした人で、『お義母さんとお義父さんの生活があるのだから』と、長女が子育て期間中に実家を頼りすぎないように、長女に手綱を付けてくれたんです。そんな他人行儀なことをしなくてもいいのに……と思ったけれど、今思えば、あれは立派だった」

長女の夫は両親が幼いころに離婚し、新聞奨学生をしながら大学に通った苦労人だ。大学時代に長女と知り合い、お互いが28歳の時に結婚し15年になるという。

妙子さんの頭を悩ませているのは、38歳の次女一家だ。

「次女は、マッチングアプリで知り合ったとかいう1歳年上の婿と、5年前に結婚して、すぐに子供が2人もできた。ウチの近くにアパートを借りたんです。スープが冷めないどころか、カップラーメンができる程度の距離ですよ。だから、当然のようにウチに来て、夕飯を食べて、風呂にまで入って帰っていくんです」

子供は4歳と2歳の女の子で、現在は2人とも保育園に通っている。次女に子供が生まれてからは、当然のように妙子さんに子供を預け、夫婦で出かけてしまうこともあるという。

「当時は、長女の他人行儀な態度に腹が立っていたこともあって、“ウチに来てくれる孫はかわいいね~”とかわいがったものです。でもかわいいのは最初だけ。私たちにも予定があるので、“この日は連れてこないで”と言うと、“ママがいなければ、パパがいるじゃない”とこうなんです」

もともと、次女をかわいがっていたが……次ページに続きます】

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