年末調整とは、1年間の所得税の過不足を計算し、追加で徴収もしくは還付を行う手続きです。毎月の給与から控除されている所得税は、あくまでも概算の金額で計算されています。そのため、1年間の給与が確定する年末のタイミングで改めて会社側が、従業員の所得税の金額を計算することになるのです。そして多くの会社は、従業員に対して毎年10月下旬から11月にかけて年末調整に必要な書類の提出を求めることになります。

そこで今回は、日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士 中川義敬が、長年にわたる税理士業務を通じて得た幅広い知識や経験に基づき、年末調整の提出期限や遅れた場合の対処法ついてご紹介したいと思います。

目次
年末調整の期限はいつまで?
もし年末調整の期限に遅れた場合はどうなる?
年末調整とはいつからいつまでの収入が対象?
年末調整に必要な書類は?
まとめ

年末調整の期限はいつまで?

会社側の年末調整書類の提出期限は翌年の1月31日です。

その期限までに勤務先の会社から、所轄の税務署や市区町村などに源泉徴収票や給与支払報告書、法定調書合計表などの年末調整に関する書類を提出することになります。

会社は提出期限までに従業員の正しい税額を確定するため、従業員一人一人の扶養配偶者や扶養親族、保険の支払い等を把握する必要があります。そのため従業員は、年末調整に必要な書類をその年の最後の給与を受け取る前日までに、勤務先の会社に提出することが必要です。しかし会社側の事務処理もあるため、会社が設けた期限までに書類を提出することとなります。

なお、年末調整処理を終えた後でも、扶養親族数の変更や配偶者の所得の変更などによって、再調整をすることも可能です。しかし勤務先側は翌年の1月31日までに官公庁に書類を提出する必要があるため、変更がわかれば早めに会社に相談しましょう。

もし年末調整の期限に遅れた場合はどうなる?

年末調整の期限に遅れた場合は、従業員個人が確定申告を行う必要があります。年末調整では、勤務先が従業員個人の代わりに所得税を納めます。しかし確定申告では、従業員が所得金額や控除額を計算して、個人で所得税を申告し納付しなければなりません。仮に確定申告の期限に遅れてしまうと、無申告加算税や延滞税等が本来納める税金に加えて課税される恐れがあります。

確定申告の期限は、原則としてその年の翌年の2月16日から3月15日までで、年末調整の手続きを忘れた場合には、上記期限に遅れないよう早めに確定申告書を提出するように心がけましょう。

年末調整とはいつからいつまでの収入が対象?

年末調整の対象となる収入は、その年の1月1日から12月31日までに支払うことが確定している給与です。例えば、給与規定などで毎月20日締め当月末日払いと定められている場合、年末であったために翌年の1月4日に遅れて支払ったとしても12月31日分として年末調整に含まれることになります。

一方、12月分の給与について翌年の1月に支給日が定められている場合は、12月分の給与は、その年の年末調整に含まれません。なお、給与規定などの契約で給料の支払日が決まっていない場合は、給与をもらった日となります。

年末調整に必要な書類は?

年末調整を行う上で必要な書類は下記の通りです。それぞれの内容についてお話しします。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得⾦額調整控除申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
・前の勤務先での源泉徴収票

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

年末調整を行う方が全員提出する書類で、その年の12月31日時点で従業員個人が扶養している配偶者や親族の氏名、生年月日、マイナンバー等について記入する書類のことです。

勤労学生控除を受ける場合は、勤労学生に該当する旨を称する書類。非居住者である親族にかかる扶養控除もしくは障害者控除の適用を受ける場合は、その親族にかかる送金関係書類、親族関係書類等を合わせて提出します。なお、この申告書は、当年分と翌年分を提出します。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得⾦額調整控除申告書

年末調整を行う方のほぼ全員が提出する申告書です。この用紙1枚で「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「所得⾦額調整控除申告書」の3種類が提出できるようになっています。基礎控除、配偶者控除または配偶者特別控除、所得金額調整控除の対象有無や対象金額が確認できる申告書となっています。

給与所得者の保険料控除申告書

生命保険、医療保険、地震保険等の保険料を支払った人が提出する書類で、下記控除に関連してそれぞれの証明書の添付が必要になります。

・生命保険料控除… 生命保険料控除証明書

・地震保険料控除… 地震保険料控除証明書

・小規模企業共済等掛金控除… 小規模企業共済等掛金払込証明書

・社会保険料控除… 社会保険料控除証明書(※)

※会社の給与から天引きされている健康保険料、厚生年金保険料などの社会保険料については、会社で計算するため記載は不要となります。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

住宅ローンを組んで自宅を購入した方が提出する書類で、住宅の購入や新築、増改築のために組んだローン控除の適用を受けるために必要な書類です。

なお、適用の初年度は、年末調整ではなく従業員本人が確定申告を行う必要があり、年末調整は2年目以降で対応することになります。年末調整で控除するには、融資額残⾼証明書や住宅取得資⾦に係る借⼊⾦の年末残⾼等証明書を併せて提出します。

前の勤務先での源泉徴収票

転職などでその年の中途で⼊社した方は、前の勤務先でも所得税や社会保険料等を給与から天引きされている可能性があるため必要な書類になります。

まとめ

今回は、会社員個人が年末調整を受けるにあたり、提出期限や必要書類に関してご紹介しました。勤務先が税務署、市区町村に提出する年末調整関係書類の提出期限は、翌年1月31日です。会社が定めた提出期限に控除等申告書や必要な添付書類を会社に提出するようにしてください。仮に、年末調整に間に合わなかった場合は、翌年の3月15日までに確定申告を忘れずに行うようにしましょう。

●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。

日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com

構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com

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