現在、一つの企業に長く勤め続けるよりも、転職をしてキャリアを積む方が多くいます。一方、一つの企業に長年勤めているベテラン社員もおり、その社員のおかげでスムーズに業務が進むなどの一面もありますが、長年の経験から業務に関する謎のマイルールがあり、困惑したという方もいるのではないでしょうか。
そこで、株式会社識学(https://corp.shikigaku.jp)が、職場で長く働いているベテラン社員を代表する「お局さん」について調査しましたので、ご紹介します。頼れるプロフェッショナル社員と、企業、双方にとって有益なマネジメントとは、どんなものか考えます。
仕事ができる「プロフェッショナルお局さん」
本調査では、「職場で長く働いているベテラン女性社員」を「お局さん」と定義し、「お局さんの属性」をお聞きしました。
はじめに「あなたがお勤めの会社にいるお局さんに該当する属性をお答えください」と質問しました。
最も多かった回答は「仕事ができるプロフェッショナルお局さん」52.0%、次いで「噂話、陰口等が多いおしゃべりお局さん」43.3%となりました。「プロフェッショナルお局さん」は半数を超えており、長い間会社にお勤めしていることから、仕事ができる頼もしいお局さんが多いようです。多くの企業は、こうしたお局さんに支えられて、存続できているのかもしれません。
次の質問では、「あなたがお勤めの会社にいるお局さんの特徴をお答えください」と聞きました。
お局さんの特徴を聞いたところ、TOP3は「プライドが高い」34.3%、「機嫌の浮き沈みが激しい」33.3%、「仕事が早い」32.3%でした。
作業スピードが速いのはもちろん、これまで築いた人間関係を駆使し、周りの人に協力を仰ぐことで、どんな仕事でも対応ができるのかもしれません。その一方で、「プライドが高い」、「浮き沈みが激しい」と感じている方もいるようです。
お局さんに悪い印象を持つ人は4割超
続いて、「お局さんの謎のマイルールやあなた(ご自身)だけ適用される特別なルールがあることで業務に悪影響を及ぼしたことがありますか」(単数回答、n=83)と質問しました。
回答は「ある」が80.7%、「ない」が19.3%でした。
「ある」と答えた方のコメントの一部を紹介します。
・一部の派閥の人だけが、良くされる。(男性/27歳)
・お局さんのマイルールによって、納期が間に合わなかった。(男性/35歳)
・仕事を手伝ってくれないので、なかなか営業に行けない。(男性/30歳)
・仕事をきちんと引き継いでもらえなかったことで、次の担当だった自分が多くの人に迷惑をかけてしまった。(女性/27歳)
・他の業務に支障が出て、結局残業になった。(女性/30歳)
・整理整頓術が異常で時間を取られる。(女性/32歳)
業務上、ルールを作ることは大切なことですが、他の社員にとって理解できない内容や、非効率な謎のマイルールが生まれないように、企業は組織マネジメントすることが必要かもしれません。
さらに「 あなたの会社にいるお局さんに対する印象を教えてください」(単数回答、n=300)と尋ねました。
「良い印象」8.3%、「どちらかと言うと良い印象」18.7%、「どちらでもない」29.3%、「どちらかと言うと悪い印象」21.3%、「悪い印象」22.3%でした。良い印象をもつ人が一定数いる一方、「悪い印象」「どちらかと言うと悪い印象」を合計すると4割を超えています。一体何が原因なのでしょうか。
「どちらかと言うと悪い印象」「悪い印象」と回答した方へ、「お局さんが生まれる理由」を聞きました。回答結果のTOP3は、「明確な全社ルールがないから」34.4%、「評価基準が明確でないから」32.8%、「上司(管理者)がいないから」28.2%でした。
職場に長く勤めているが故に、周りの社員に比べて経験値が高いため、昔から自分がやっている「マイルール」を周りの社員に押し付けてしまうお局さんは、ネガティブな印象を持たれてしまうかもしれません。環境は常に変化しているため、同じやり方が最も効率の良いやり方であり続けるとは限りません。自戒の念を込めて、気を付けたいものです。
お局さんの神エピソード
最後にご紹介するのは、「お局さんがいてよかったと思った、神エピソードをお答えください」(自由回答、n=300)への回答です。
・聞いた話ではあるが、緊急に対応しなければならない大量の申請書類を徹夜で仕上げ、翌朝出社した際にみんなビックリしたらしい。(男性/32歳)
・上司から守ってくれた。(男性/36歳)
・全くわからない案件が来たときに、いろいろな部署に連絡をし、対処してくれた。(女性/28歳)
・仕事が早いので、人手が足りなくて困るときは助かる。自分では解決できないときに意見をもらうことができる。(女性/30歳)
・コロナで半数の社員が休んだときに、仕事ができるお局さんが休んだ人の代わりに対応してくれた。(女性/39歳)
ベテラン社員の活躍を促すマネジメントとは
ベテラン社員の活躍をより促進するためには、大きく2つのポイントに注意する必要があります。
1点目は、ベテランも新人も関係なく、全員が守らなくてはいけないルールを明確に設定し、守らせることです。「ベテランだからルールを守らなくても良い」、「ベテランは自分でルールを決められる」というような状態にしてしまうと、組織全体の統率が取れなくなるだけでなく、周りの社員の不満を高めることにも繋がります。また、自らの責任範囲外については、ルールを設定する権限を行使させないということも重要です。
2点目は、会社がしっかりとベテラン社員を「評価する」ということです。ベテラン社員は、経験値が高く、いつでも頼りになる存在かもしれません。しかし、あくまでも会社から評価を受ける存在であることは認識させなければなりません。そうでないと、自分が会社を評価できる立場であると錯覚し、「口出しはするが責任は負わない」無責任な社員になってしまう可能性が高まります。
***
プロフェッショナルなお局さんは、企業にとって頼りになる人材です。周囲との軋轢を避けるためにも、業務に明確なルールを設け、評価基準を社員に明示することが求められます。マネジメントが適切にできる企業においては、有能なベテラン社員の能力を最大限に活かしつつ、生産性を高めることができるかもしれません。
■調査概要
調査機関:株式会社識学
調査対象:全国の従業員数10名以上の企業に勤める20歳~39歳の男女で、職場に長く働いているベテランの女性社員がいる方
有効回答数:300サンプル(男性 150名、女性 150名)
調査期間:2022年8月17日(水)
調査方法:インターネット調査
※本調査では、小数点第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。