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台風や豪雨など想定外の自然災害にリスクが高まっている昨今、災害に強い住まい選びをすることが、命や暮らしを守るうえで重要です。そこで、不動産コンサルタント・長嶋修さんの著書『災害に強い住宅選び』から、防災の視点から一戸建てを購入する際の注意点をご紹介します。

文/長嶋修

戸建ての大半める木造住宅風水害被害けやすい

一戸建ての構造を大きく分けると、建材に木材を用いた木造住宅、柱や梁などに鉄骨を用いた鉄骨造住宅、柱や梁、床、壁が鉄筋とコンクリートで構成されている鉄筋コンクリート造(RC造)住宅の3種類になります。

一戸建て住宅の場合、今も昔も木造が過半を占めています。木造住宅は建築費が最も安く済み、通気性に優れ、かつリフォームがしやすいというメリットがあります。しかし、きちんとメンテナンスをしなければ、耐久性が低下していくため、風水害の被害を受けやすくなります。

激甚災害で河川が氾濫すると、決まって古い一戸建ての住宅が倒壊したり、濁流に流されたり、屋根を丸ごと吹き飛ばされたりする映像がニュースで流れます。致命的な被害を受けた住宅のほとんどは木造住宅です。

木造住宅の構造体は水に弱く、雨漏りなどが原因で、内部が腐食することがあります。基礎や柱がもろくなれば、家全体が倒壊しやすくなりますし、河川が越流してくれば、土台から建物が外れて流されることも起こり得ます。 もっとも、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅でも、風水害の被害がないわけではありません。特に、洪水ハザードマップで浸水のリスクが想定されているエリアであれば、住宅の構造に関係なく、水害の被害を受けることになるでしょう。

よって、一戸建て住宅を選ぶにあたって重要なのは、マンションでも同じですが、一にも二にも立地です。木造にするか、鉄骨造や鉄筋コンクリート造にするか、ということで頭を悩ませるのは、その後です。

また、木造住宅を選ぶにしても、風水害に遭いづらい構造になっている建物を選んだり、 定期的なメンテナンスを心掛けたりすれば、被害を受けるリスクを減らせます。逆に言うと、次の3つのポイントのいずれか、もしくは複数項目に当てはまる一戸建ての住宅は、風水害に遭うリスクが極めて高くなります。

・水害のリスクに遭いやすい土地に位置している
・先天的・あるいは後天的な構造上の問題を抱えている
・メンテナンスを怠っている

ハザードマップで浸水深予測されている区域では、床から浸水

まず、洪水ハザードマップで浸水のリスクが指摘されている土地に住んでいれば、当然ながら洪水によって床下・床上浸水する恐れがあります。

最近のハザードマップは、正確性が高くなっています。2018年の西日本豪雨で、岡山県倉敷市真備町が大規模な洪水に見舞われた際には、事前に公布されていたハザードマップの浸水想定区域と実際の浸水エリアが、ほぼ一致していました。

ハザードマップには、洪水が起こった場合に、どれくらいの深さまで水が来るかを想定した数値も掲載されています。これを「浸水深」と呼びます。浸水深が 0〜0.5メートルなら床下浸水、 0.5〜1メートルなら床上浸水、1〜 2メートルなら1階の軒下まで浸水、2〜 5メートルなら2階の軒下まで浸水、 5メートル以上なら2階の屋根まで浸水する恐れがあります。

浸水リスクゼロのエリアを選ぶのがベストですが、大きな河川が近くを流れる街などでは、リスクゼロの土地を探すのは難しいでしょう。それでも、一戸建てに住むのであれば、 浸水深の予測が2メートルを超えるような場所は、極力避けるべきです。

前述の真備町では、過去にも洪水被害が頻発していたことから、住民にハザードマップが 配布されていたそうですが、ハザードマップの存在を認識しておらず、自宅の浸水深の予測値も、まったく知らない人が多かったと言われます。

ハザードマップ自体、最近になってから作られ始めたので、その土地に古くから住んでいる高齢者世帯などが、存在を知らなかったとしても仕方ないかもしれません。しかし、新たに一戸建ての住宅を購入するのであれば、家を建てる場所、あるいは建売住宅が立っている場所をハザードマップで必ず確認すべきです。

高台であればまず安心と思うのか、ハザードマップを確認しない人が多いのですが、これもNGです。街全体は高台に位置していたとしても、地域内の中で見れば、周辺より少し低くなっているような場所もあるからです。

窪地のような形状になっていると他所から見れば高台にあったとしても、水は溜まります。傾斜がなだらかで気づきにくくても、雨上がり時にいつまで経っても水溜まりができて いるような場所は、低地になっている可能性があります。

* * *

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長嶋 修(ながしま・おさむ)
1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経済省の様々な委員を歴任。2019年より始めたチャンネル『長嶋 修の不動産経済の展開を読む』(現在は『長嶋 修の日本と世界を読む』に改題)では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。テレビ出演、講演等実績多数。著書に『不動産格差』(日経新聞出版)など多数。

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