親孝行の名目でお金を払い続ける夫
子どもの話は白紙になり、再びお金は関与しない関係に。そんなときに義両親から義両親、義姉家族、そして涼子さん夫婦での旅行に誘われ、それをきっかけに夫婦は大ゲンカをしてしまう。その話は流れたと思いきや、夫は1人で旅行に参加していた。
「なに贅沢してるんだよって感じです。義実家は全然質素ではなくて、お取り寄せも頻繁にしているし、義父のタバコとかお酒とかも普通に購入しているし、義母は高級ブランドの基礎化粧品を使っていて、勧められたことさえありますし。度々遊びに行っている義姉の子どもたちのわがままのためにお金をたくさん使っていることも知っています。あれが夫のお金だったと思うと、イライラが止まりませんでした。
旅行の話も義両親の分は夫が出すようで、せめてもう少し質素な旅行を提案しても『好きなところに行かせてあげたい』と。話は平行線のまま終わって、そのまま何もなかったのでわかってくれたんだと思ったら、朝起きたら夫はいませんでした。夕方ぐらいに『明日帰ります』とメールがあっただけ。そのとき、もう終わりかもしれないと思いました」
そこから夫婦の会話はなくなり、夫婦というよりも同居人という状態に。そんな中、義姉が見慣れない新しい車に乗っていることに気づきます。車のことを尋ねたら、夫が保証人と引落口座名義人になっていることを教えられます。
「義姉は私の了解を得ているものだと思っていたみたいですね。
正しくは義姉の車ではなく、実家の車として、ローンを組めない義父に代わって義姉が契約者になり、夫は保証人と引落口座名義人となっているよう。つまり、夫が払っているんですよ」
家族じゃないことを認識させられることばかりだと訴えるが、涼子さんはもう離婚は考えていないという。
「夫のことはもうどうでもいいんです。いくら言っても聞き入れてくれなかったら放って置くしかないと思い、諦めの気持ちが出たら楽になりました。ただの同居人としてはお金もちゃんと入れてくれるし、経済的にひっ迫することもなく、私自身のお金も貯まっていく。私は実家と和解はしたけれど頼れるかと言われたら無理です。だから夫は保険みたいなものだと思うことにしています」
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借金がある人はプライドが高いことが特徴として挙げられる。借金をしているからといって生活の水準を下げられないのもプライドが邪魔しているという。
涼子さんの夫は両親の借金に対して嫌悪感がなく、自分が返済することが親孝行になるといった気持ちさえうかがえる。親孝行は当人たちがそう思っているのであれば外野が文句を言うものではないが、夫婦関係に支障がある場合は親孝行の域は超えている可能性は高い。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。