関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、熟年夫婦、そして我が子や孫を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

***

今回の依頼者は会社経営者の光男さん(70歳)です。1年半前に再婚した妻(56歳)の様子がおかしいと私たちに相談にいらっしゃいました。

コロナ禍に亡くなった妻、その死を受け入れられない心の空洞

光男さんは30代のときに、勤務していたゼネコンを辞めて、実家がある北関東エリアで自分の会社を立ち上げました。現在は娘夫婦に会社を譲り、悠々自適の生活をしています。ゴルフが趣味で健康的に日焼けをしています。

「1年半前に再婚した妻が、ちょくちょく外出するんです。これでは何のために再婚をしたのかわからない。入籍する前までは僕に対して愛情を表現してくれたのに、家に入ってからは、やれ息子の家だ、友達だと外出してばかり。先日、あまりにも外出するので怒鳴りつけてやったら、帰ってきたり、来なかったり。落ち着いたと思えば旅行に出かけられたりして、打つ手もなくて」

光男さんは、安定感がある真面目なタイプです。女性をとっかえひっかえする男性にありがちな、色気のような要素は少ない。容姿は整っていますが、不器用な人柄が伝わってきます。

なぜ、再婚したのかについて伺いました。

「50年近く連れ添った妻が、コロナ禍中に亡くなったのです。死因は心臓の疾患だったのですが、あの頃は隔離に対する意識がとても厳しくて、亡くなった妻の顔を見ることも難しかった。自宅で倒れてから、救急車で運ばれて看病もろくにできないままあの世に旅立ってしまったんです」

亡き妻のことを考えると、涙が止まらないようで、「失礼します」と涙をぬぐっています。お話を伺うと、亡き妻と光男さんは、中学校の頃に交際をスタートし、24歳のときに結婚。3人の子供にも恵まれました。

「会社を立ち上げるときも、妻が後押ししてくれたんです。あの頃の日本は、“会社に殉職して当然”というような雰囲気だった。それで、僕はノイローゼになってしまったんです。その時に妻は“会社を辞めよう。一緒に地元に帰って、屋台を引こうよ”と言ってくれた」

地元に戻ってから、妻は公務員として再就職し、光男さんは療養に努めた。そこで妻は地元の設計・施工のニーズがあることに気付き、起業を勧め、今の自分があるという。

【できた妻がいなくなり、ひたすら悲しい……次のページに続きます】

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