企業年金はいつ、どのような時に、どのようにしてもらえるのか。とても気になるところではないでしょうか?
また、年金の受給が始まった途中で死亡した場合はどうなるのか。万一の時のことも含め、企業年金の受け取り方について「企業型確定拠出年金」を題材におさらいしておきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
企業年金を受け取るタイミングは?
年金の受け取り方とは
受給者本人が亡くなった場合はどうなる?
まとめ
企業年金を受け取るタイミングは?
確定拠出年金を受け取るタイミングは、原則として次の4つになります。
1. 老齢給付
2. 障害給付
3. 死亡給付
4. 脱退給付
1.老齢給付
確定拠出年金は、そもそも老後の生活資金のための制度ですので、基本的にはこちらの給付となります。現在、企業型確定拠出年金であれば60歳以降、最長で75歳から年金受給の開始年齢を選択することができます。ただし、勤務先の企業の規約によって異なるので確認してください。
なお、「加入している期間が10年に満たない場合」は、最短の60歳から受け取ることができませんので注意が必要です。
2.障害給付
確定拠出年金で積立・運用をしている加入期間中に、事故や病気により「政令で定める程度の障害の状態」となってしまった場合、それまでの積立金をもとに年金を受け取ることができます。
年金を受け取ることができるのは、「障害認定日から70歳の誕生日の直前までの期間内」となっています。ここでいう「障害認定日」とは、病気またはケガによって初めて医師の診療を受けた日(初診日)から起算して、1年6か月を経過した日のことを指します。
なお、「政令で定める程度の障害の状態」は次のような状態です。
-障害基礎年金の受給者(1級および2級の者に限る)
-身体障害者手帳(1級~3級までの者に限る)の交付を受けた者
-療育手帳(重度の者に限る)の交付を受けた者
-精神保健福祉手帳(1級および2級の者に限る)の交付を受けた者
3.死亡給付
万が一、確定拠出年金で積立・運用をしている加入期間中に亡くなられてしまった場合は、遺族の方が死亡一時金として受け取ることになります。
基本的には配偶者か、子どもや父母など「亡くなられたご本人に扶養されていた方」が受け取る前提で法令に基づく受取人が決まっています。しかし、本人が「配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹」の中から、死亡一時金の受取人をあらかじめ指定していた場合には、その方が受取人となります。
4.脱退給付
一定の要件を満たして、中途引出しを希望した時に「脱退一時金」を受け取ることができます。確定拠出年金は原則60歳まで受け取ることができない制度なので、脱退による給付についてはかなり条件が厳しく狭くなっています。
脱退一時金の給付を受けるための要件をすべて満たす必要があり、ほとんどの場合は該当しません。
年金の受け取り方とは
ここでは、企業年金の受け取り方法についておさらいします。
企業年金の受け取り方法には、「年金」と「一時金」がありますが、企業によっては「併給」という、両方を併用する方法を用意しているケースも見られます。確定拠出年金の運営管理機関が規約を定めているので、確認しましょう。
老齢給付の受け取り方法は、次の3種類となっています。
1. 一時金による受け取り
2. 年金による受け取り
3. 併給(上記1.2の組み合わせ)
なお、障害給付も同じく上の3種類から選ぶことができますが、死亡一時金と脱退一時金は、「一時金」による方法のみという規定になっています。3の併給は、金融機関(運営管理機関)によっては不可の場合もありますので、ご注意ください。上記「2.年金による受取り」については、その給付の受け取り方の種類や受け取り期間を選択することができます。
主に採用されている給付の種類は、以下の3つです。
ア.確定年金
決められた期間で決められた金額を受け取る方法。受け取り期間は、5年・10年・15年・20年から選択。
受け取り額:確定された年金額を受け取る
イ.終身年金
一生涯にわたり決められた金額を受け取る方法。受け取り期間は、一生涯。ただし、保証期間を5年・10年・15年・20年から選択する。保証期間とは、受給者本人の生死にかかわらず最低限受給が約束される期間をいう。
受け取り額:確定された年金額を受け取る
ウ.分割取崩年金
受け取り開始後も運用を継続しながら、積立金を取り崩して受け取る方法。受け取り期間は、5年・10年・15年・20年から選択。
受け取り額:運用実績により年金額は変動する。
そのほか、受け取り方以外に選択できるのは、「年に何回」に分けて受け取るかという、「受け取り頻度」です。これも様々ですが、「年1回」「年2回(半年に1回)」「年4回(3ヶ月に1回)」「年6回(2ヶ月に1回)」などの選択肢があります。
受給者本人が亡くなった場合はどうなる?
年金受給者が亡くなられた場合は、その旨をすみやかに企業年金の運営管理機関に届け出る必要があります。
届け出によって、受給者本人への年金支払いを停止します。また、「確定年金の受給期間」や「終身年金の保証期間」にまだ残余期間がある場合、遺族給付金として「年金」、または「一時金」で遺族に支払われるのが一般的です。
まとめ
企業年金は、会社が従業員のために用意している福利厚生制度です。とくに定年退職後の生活のために、公的年金に上乗せされる大事な収入源となりますので、その仕組みについて理解をしておくことが大切です。仕組みを理解したうえで、リタイア後のライフプランを作ってセカンドライフを豊かに暮らす準備を始めましょう。
生命保険や金融商品などを販売しない中立的なファイナンシャルプランナーは、相談者の立場に立って最適なリタイアメントプラン作りをお手伝いします。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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