娘もなついているモデル風の男性の正体は?
外で待機していると、カレーが煮えるいい匂いがしてきて、その後にはお風呂のお湯に入浴剤を入れる温かなにおいが漂ってくる。実家に帰りたい気持ちになってしまうほどの幸せなオーラがありました。
それから、23時くらいに妻と男性が手を繋いで出てきて、近所のコンビニでクラフトビールの缶を購入し、飲みながら帰宅。この間も男性は、「缶は冷たいから僕が持つよ」と言い、コンビニの店員さんが袋の有無を聞く前に「持って帰るね」と明るい声で言う。そしてお金を払っては「ありがとね」と店員さんに声をかけ、ハンカチで缶を包み、開封してから嫁に渡すなど、至れり尽くせり。嫁は男性に心の底から甘えており、男性はそれを受け止めていました。
翌朝は、朝早くから男性がゴミ出しに出てきて、近所のおばさまたちと社交。そして、嫁は家にいるのに、娘を小学校まで送り届けていました。その帰りに、買い物などをして自宅に戻り、昼から出勤。
勤務先は都内の大衆的なスポーツジムで、利用者さんからの人気も高いことがわかりました。若く見えますが年齢は29歳。離婚歴があり、元妻との間に娘と同じ年の息子がいることなど、さまざまなことがわかったのです。
そして、親しい人に「今後、僕は結婚するんです」と話していたこともわかりました。
嫁の背景を調査すると、半年前に嫁の父親が亡くなり、祖母の家を相続したこと。ずっと離婚を考えていたけれど、子育てにおいて頼りになる存在がいないために二の足を踏んでいたことなどがわかりました。
以上を春子さんに報告すると、「あらららら」とかなり驚いていました。
「嫁もガマンしていたんですね。なんでしょうね、これは。ウチの息子がダメなんでしょうか……いや、ダメだったんでしょうね」
そう言いながら、かなりがっかりされていました。それは、「もう孫は私のところに来ない」と実感したからだと推測しました。この報告書を見る限り、嫁は離婚を本気で考えている。こういう状態になってしまうと、巻き返しは困難です。
「家事も育児もやってくれる男性は、今の時代の理想の男性なのかもしれませんね。しかも、この人、とても優しい。こんな人と出会ってしまっては、息子に勝ち目はありません」
春子さんは諦めましたが、黙っていないのは息子。証拠を見ると「不貞をしている」と離婚を拒否。結局、籍を入れたまま、別居をしている状態になっているのです。
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今、このように「誰かと籍は入っているけれど、事実上は独身」という人は増えています。こういう人たちの間で生まれた子供が、法律的に非嫡出子になってしまったり、縁が切れている状態にある夫との子供として扱われることに抵抗を覚える人も推測できます。どこからが夫婦であり、そうではないのかを考えることも必要なのだと感じています。
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/