1つの敵に対して、母親と姉妹の絆は強固になった
高校を卒業後は大学へ進学します。お姉さんは短大を卒業してすでに社会人になったそうですが、2人とも実家を離れることはなかったと言います。
「その頃には学校の話や成績チェックがなくなっていたので、父親との会話はまったくありませんでした。食事を一緒にしなければいけない決まりもなかったですから。父親は決めていたことがその通り、時間通り進めばそれでいい人だから私たちがいるかどうかなんて関係ないんです。
姉は短大を卒業後にアパレルの販売員をしていて、自立していたんですが実家を離れることはなかったです。やっぱり母親のことが気になっていたからだと思います」
美緒さんは大学卒業後にインフラ関連を扱う企業に就職。姉と同じく、実家から通い続けます。
「私も母親一人であの怒声に耐えるような生活をしてもらいたくなくて、家を離れることは考えませんでした。それに姉に任せっきりになるのも悪いと思って。結局私は28歳で結婚するまで実家で生活を続けることになりました」
家族だけでなく周りにも声を上げるようになる父親。優しい人という基準で選んだ夫に対しては別の悩みが発覚してしまいます。別れないことを選択した美緒さんが優先したのは母親と同じく、娘のことでした。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。