真っ直ぐすぎるプロポーズ「家族にしてください」

一度会ってからは頻繁に会うようになるも、時間は週末のお昼2~3時間のみで、もちろん関係はなし。そんな関係が3か月ほど経過したときに沙理さんが退職時の思いを伝えられたという。

「『妊娠、結婚、退職となる前に思いを伝えておけばよかったとずっと後悔していた』と言われました。当時なら断っていたんだと思いますが、聞いたときには嬉しくてたまりませんでした。

でも、相手は私より2つ年下で婚姻歴もない。結婚して1年で離婚した、まだまだお世話のかかるシングルマザーと付き合うなんてリスクがあり過ぎるでしょう。そのときはお礼だけ伝えて会話を逸らしたので、関係はそのままでした」

友人のような関係が3年ほど続いたとき改めて告白を受けて付き合うようになるも、まだ家族になる気持ちはまったくなかった。

「私が家族になりたくないというよりも、彼に余計な負担を背負わせたくないという思いが強かったです。だから子どもにも会わせないようにしていました。子どもが懐いてしまっては私と別れにくくなったりするのかなって考えて。

でも、彼は『お子さんに会わせてください』と真っ直ぐに伝えてきてくれたのです」

子どもに会わせたことで母親とも会う機会を作り、そこから交流は密になっていくも、結婚の話題は避け続けた。結婚を考えるようになったきっかけは子どもの「運動会を見に来て」のひと言だった。

「子どもの通う学校は運動会の観覧は親族のみ。息子はそんなことわからないので、ただ純粋に彼に見に来てほしかったんでしょう。彼は『もちろん見に行くよ!』と言い、その後私に『家族にしてください』とプロポーズしてくれました」

コロナ禍に入り、行事が中止になったり1名しか行事に参加できなかったりとまだ参加できていないとのことだが、今も家族4人(母親・夫・子ども)で幸せに暮らしているという。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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