不動産を所有している場合、ご自身またはご親族の相続税がどれだけかかるのか、売却を検討している場合には、現在の不動産の価値と売却額がいくらなのか、不動産を所有する目的によって様々な疑問が生まれるでしょう。

不動産の売却額については相手側の購買意欲や、所在地によって変動します。しかし、市役所から入手することができる資料やインターネット上で公開されている情報に基づき、目安となる金額を推測することができます。不動産は相続財産の中でも大きな金額を占めるため、生前に評価額を把握しておくことは非常に重要です。

そこで今回は、日本クレアス税理士法人の税理士 中川義敬が、長年にわたる不動産コンサルティングを通じて得た幅広い知識や経験に基づき、不動産の評価方法についてご説明させていただきます。

目次
不動産の評価額とは?
不動産評価額の種類と調べ方
不動産評価額と売却価格との関係は?
まとめ

不動産の評価額とは?

不動産の売却や購入を検討する場合、もしくはご家族に相続があった場合、不動産の評価額を目安に、これらの金額の根拠とすることが可能です。不動産を評価する場合、売却や購入、相続時点の「時価」をもって評価額とするのですが、何をもって「時価 = 評価額」と考えるのか、その基準を明確にする必要があります。

不動産評価額の種類と調べ方

不動産の評価額は、原則的に「固定資産税評価額」「相続税評価額」「公示価格」の3種類です。目的に応じてこれらの評価額のうち、いずれかを用いることになります。それぞれの評価額の内容について見ていきましょう。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税が課税される際の基準となる評価額です。不動産を所有していれば、毎年固定資産税を支払う義務が生じることになるので、身近に感じる評価額でしょう。固定資産税評価額は毎年4月から6月頃に届く「固定資産税納税通知書」に記載されています。固定資産税のみならず、不動産を購入したときに課税される「不動産取得税」、登記の際に支払う「登録免許税」についても固定資産税評価額を基準として計算されることとなります。

なお、「固定資産税納税通知書」を紛失された場合は、固定資産税評価額が記載された「固定資産税評価証明書」を各市区町村から入手することが可能です。

相続税評価額

相続税評価額は相続税や贈与税を算出する際に用いる評価額をいいます。不動産の所在地によって計算方法が2つあります。

(1)路線価方式

下記の算式により評価額を算出します。

評価額 = 路線価 × 地積 × 調整率

路線価とは道路に面している土地の1平方メートルあたりの評価額をいい、国税庁のホームページに公表されている路線価図により調べることができます。土地の形状がいびつで利用勝手が悪い土地や、道路に面する土地の間口が狭い土地は、建物の配置が制限されることになります。きれいな正方形や長方形の形状をした土地に比較して減額されることとなるでしょう。

(2)倍率方式

路線価図により路線価が付されていない地域については「固定資産税評価額 × 倍率」により評価額を算出します。固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる価格をいい、毎年4月から6月頃に自治体から届く「固定資産税納税通知書」に記載されています。なお、倍率は国税庁のホームページに掲載されている評価倍率表により確認することができます。

公示価格

公示価格は国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公表する不動産価格をいい、固定資産税評価額や相続税評価額(路線価)の基準となります。公示価格は毎年公表されるので不動産価格の現在の水準を推測する際に用いることができます。

ただし、実際の不動産の取引価格は土地の形状や道路幅、その他個別事情によって大きく変化するもの。公示価格は、あくまで不動産相場を知る1つの参考指標として用います。

不動産評価額と売却価格との関係は?

前述に挙げた「固定資産税評価額」「相続税評価額」は自力で算出することができる不動産評価額となります。ここでは、「固定資産税評価額」「相続税評価額」が実際の売却価額とどのような関係性にあるのかについて、ご説明いたします。

固定資産税評価額と売却価格との関係

固定資産税評価額は各市区町村が算定するのですが、公示価格の70%の水準になるように調整されていますので、固定資産税評価額を0.7で割戻すことにより、公示価格を把握することができます。公示価格と売却価格の関係は地域によって異なりますが、売却価格はおおよそ公示価格の1.1倍から1.2倍と言われています。固定資産税評価額は売却価格の0.6倍から0.65倍を目安に考えることができるでしょう。

相続税評価額と売却価格との関係

相続税評価額は路線価に基づき算出されます。しかし、路線価は公示価格を参考に国税庁によって評価が行われ、公示価格の80%の水準になるように調整されています。

相続税評価額を0.8で割戻すことによって、公示価格を掴むことが可能です。ただし、相続申告や贈与申告においては路線価のみならず、土地の形状や大きさ、道路幅などを鑑み、相続税法独自のルールにより一定割合減額して評価を行います。一概には言えませんが、相続税評価額は売却価格のおおよそ0.7倍から0.75倍を目安に考えることができます。

まとめ

相続税を試算するための評価額であれば、路線価に基づく相続税評価額により、おおよその評価額を把握することができます。実際の相続申告書や贈与申告書における評価は、一定の条件で減額要素が発生しますので、注意が必要です。

また、売却価格の算定に関しては、概算の時価で取引をした場合、税務署の税務調査によって、その取引価格を否認される可能性があります。今回ご紹介した評価はあくまで参考程度と捉えて、実際に取引をする場合には、不動産会社に査定を依頼されることをお勧めいたします。

構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com

●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。

日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com

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