「親は生きている間に頼れるだけ頼らないと損!」と父は笑いながら言った
2泊の予定だったが、結局里香さんは1か月ほど東京で暮らすように。里香さんに色々なことを頼む彼女の存在に助けられた部分が多かったという。
「彼女の家はすごい汚部屋で(苦笑)。『気になるなら片付けてよ』と言われたのでお世話になるしと思って掃除すると、『ご飯作って』『あそこ行きたいから調べて』と色んなことを頼まれるようになって。2泊して帰ろうとしても『暇でしょ? 来週このイベントに一緒に行こうよ』と誘ってくれて、ズルズルと1か月もお世話になってしまいました。
その間に病院の予約があったのですが、薬が完全に無くなってしまうのが怖くて間に合うように少し薬を減らしたり飲まない日を作ったり自分でしていたんです。そのことを電話で伝えたら先生からは『それでいいですよ』と言われました。東京での生活が薬をやめるきっかけになったと思います。薬を減らしても眠れることに自信がついたから。それに頼られることで『自分は普通なんだ』って思えるようになった。これは彼女のおかげだと思います」
今の旦那さまと出会ったきっかけは彼女の結婚。結婚相手の親友同士で付き合うことになったのだが、ここにも彼女の遠慮ない言葉があったそう。
「それまでにも飲み会に参加することはあっても誰とも付き合っていませんでした。離婚したのもそのときには7年以上前の話で、離婚自体もう珍しくない時代だったから気にしてもいませんでした。でも、結婚する気にはなれなかったんです。必要ないとも思っていました。彼女にその男性を紹介されそうになったときも、『結婚する気ないから』と断ろうとしていたんですが、『あっちだって最初から結婚する気なんてないでしょう』と言われて。確かにそうだ、なんで“付き合いイコール結婚”と思い込んでいたんだろうってまさに目からウロコでしたね」
3年の交際期間を経て結婚の話に向かっていったときには素直に「この人と家族になりたい」と思った。しかし離婚のときに散々迷惑をかけた両親に反対されてしまうのではないかと不安があったというが。
「結婚したい相手がいると両親に伝えたときに『おめでとう。幸せになることを諦めないでいてくれてありがとう』と言われました。あとやっと前の離婚について迷惑をかけたことを謝れたんですが、『親は生きている間に頼れるだけ頼らないと損!』だって。再婚しなければ幸せになれなかったとは思いませんが、自然の流れに抗うことをしなくて良かったなとは思います」
里香さんは現在東京で旦那さまと子どもとの3人暮らしをしている。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。