結婚式の集合写真に不倫相手は写っていた

社内は社員同士の恋愛には寛容で、結婚以前から周囲には公言こそしてはいないものの周知の事実だった。結婚が決まると会社の人たちでほぼ埋められた披露宴が行われ、盛大に祝われた。しかし、その結婚式には元夫の不倫相手も参加しており、笑顔で集合写真に写っていたという。

「もう写真などはすべて処分したからありません。私は相手の意向で結婚を機に仕事を辞めていたので人間関係もすべて清算しました。同情されるのもごめんですから。

社内には私たち以外にも結婚したカップルがいて、私たちの存在は特に珍しいものでもなかったので、私も特に隠さないといけないとは思っていませんでした。だから私たちの知らないところまでも夫婦になる噂は回っていたはずなんです。そんな状況の中、すべてを知りながら不倫をした元夫も相手の女も最低です」

不倫が発覚した現場は自宅。実家に帰省中に相手の女を家に連れ込んでいるところに出くわし、そこからはお互いの両親を巻き込んでの修羅場だった。離婚に至るまでの間に相手と会ったのはその現場が最後だったと振り返る。

「嘘のシフトを渡されて、お店が深夜まで開いているお店だったので朝まで勤務が多いときには私は近所にある実家によく帰省していたんです。その間に女を連れ込んでいたみたいですね。その日はたまたま父親が早くから家にいて、『働いている旦那を家で待つとかしたらどうだ』と小言を言われたことに少しムカついたので家に戻ろうとしていたんです。そこで女と事後のような姿でリビングで寛ぐ元夫と出くわしました。

私は咄嗟に携帯で写真を撮って、すぐに実家に電話しました。すぐに両親が来てくれて、義両親も呼んで、後はぐちゃぐちゃです。その後の離婚に向けての話し合いは、私が参加するときは元夫は不参加、元夫が参加するときは私は不参加と顔を合わせないようにしていました。顔を見るとフラッシュバックみたいなものが起き、吐き気が止まらなくなってしまったから。

慰謝料を決める段階で、女が結婚式に参加していた別店舗の店長だと知りました。一度顔を合わせていたものの、あの日はまったく気づかなかった。それ以降は両親や私が聞くまで伝えてこなかったので」

夫婦生活は1年半で破綻。そこから再婚に至るまで10年を要した。

「今の夫と出会ったのは友人の紹介です。また結婚しようと思ったのは今の夫と出会ったからですが、最初の一歩は友人が、再婚を間違っていなかったと思えたのは父親の言葉だったと思います」

信じていた人の裏切りはじわじわと心を黒く染めていく。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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