恋愛は何も始まっていなかった

洋一さんは、「他に男性の影がない」と安心して、舞子さんに会いに行きます。すると「いい加減にしてください」と拒否されてしまったといいます。そして「もう私たちに構わないでください。これ以上つきまとうと、警察に通報します」と断言されたそうです。

舞子さん側からこの件を見ると、洋一さんに対してあるのは、ちょっとした感謝の気持ちのみ。自分の息子をほめてくれ、成績を上げてくれたことに感謝をしていた。

そんな、恩人である洋一さんから食事に誘われれば、時間をやりくりして付き合います。舞子さんにしてみれば、本来ならこの時間帯はスナックで働いており、チップを含めて1万円は稼げる時間を、洋一さんに使ったのです。

接客業のスキルを駆使して、恩人・洋一さんを気持ちよく「接待」した。「あ~ん」して食べさせるのも、腕を組むのも、長年、接客業に従事していた背景を考えると、自然にやってしまうことでしょう。気持ち良く食事をして、それで終わると思いきや、その後、何度も洋一さんは食事に誘ってくる。

また、舞子さんは既婚者男性が「お金を出す」と言っても、実権は妻が握っていることを痛いほど知っている。だから、洋一さんが学費を援助すると言っても、それは口先だけだとわかっているのです。

洋一さんは舞子さんから「毎回、お断りするのもストレスなんです。だから思い切って離れることにしたんです」と言われてしまいました。そこまで言われても、それを洋一さんはわかっていない。「こんなに拒否をされるとは思いませんでした。食事代を返してほしいと思います」と怒りを覚えているようです。

洋一さんに限らず、恋愛経験が少ない男性に多いのは、女性が自分に対して優しくしてくれたり、ボディタッチをしてくれたりしたら、相手も自分のことを好きだと思い込んでしまうこと。

私たちのところには、特に肉体関係がなく、将来の約束をしたわけでもないのに、「相手の女性を調べてください」という依頼が舞い込みます。その多くが、今回のすれ違いと似たようなパターンであることが多いです。

洋一さんは、「女性はわかりませんね。こんなに苦しい思いをするとは思いませんでした」と語っていました。思い切った行動……例えば、離婚、結婚、別居、財産分与、養子縁組などをする前に、相手について調査をしたり、誰かに相談することはとても大切だと感じています。

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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