取材・文/沢木文

親は「普通に育てたつもりなのに」と考えていても、子どもは「親のせいで不幸になった」ととらえる親子が増えている。本連載では、ロストジェネレーション世代(1970代~80年代前半生まれ)のロスジェネの子どもがいる親、もしくは当事者に話を伺い、 “8050問題” へつながる家族の貧困と親子問題の根幹を探っていく。

* * *

東京都八王子市に住む秋山信子さん(仮名・72歳)は、“見栄っ張りで美人の次男の嫁(43歳)”の存在に老後を脅かされいる。信子さんと夫との間には、独身の長男(45歳)と次男(43歳)がいる。そして、今は真剣に熟年離婚を考えている。

夫は高卒で大手メーカーに勤務。夜間大学を卒業した苦労人だ。信子さんは男女関係に嫌悪感があり、夫との間の夫婦生活は約40年間持っていない。そこで夫は夜間大学時代の同級生と浮気をする。浮気相手が自宅に押し掛け、自殺未遂をしようとしたところを取り押さえたのは、当時16歳の長男だった。

【これまでの経緯は前編で】

元キャンペンガールの次男の妻に夫は……

次男と嫁は30歳で“授かり婚”をした。

「デキちゃった婚。少子化になって恥ずかしいことが正義になってしまった。しかも嫁は夫の浮気相手に似ている。夫が“ドキッ”としたのはわかったんです。すごくイヤな予感がしました」

次男はレストラン運営会社の役員だが、成果報酬型なので、収入のアップダウンは激しい。また出費も多く、手元に金はほとんど残らないという。

「コロナになる前はよかったのですが、この2年間で、次男の家に渡ったお金は数百万円を超えます。家計が苦しくなると、息子は私に“ママ、ちょっと助けて”と泣きついてくる。嫁は嫁で、私がお教室(マンドリン)やパートに行っているスキに、“お父さまぁ”って金の無心に来ていた様子なんです」

夫が管理している退職金の口座を見ると、500万円以上が嫁の手に渡っていた。疑似恋愛の関係があるという。

「主人ははとっくに男性としての機能は失われている。ずっと不倫関係だった女性ともとっくに終わっている。それでも、自分の好みの顔の女に頼られると財布を開いてしまうんだと情けなくなりました。孫は見栄っ張りな嫁の影響で私立中学校に進学したのですが、それも学費の名目で主人からお金を引っ張れるからなんだろうと思ってしまうんです。あの甘ったるい声で、胸元がガバッと開いた服で、私のパートの時間を見計らって“お父さまぁ”って来ては、主人の肩や腰でも揉んでいたんでしょうね。そのたびに10万、20万円とコンビニに行って引き出していたら、数千万円あった退職金なんて、一気になくなりますよ」

信子さんはなぜ、それを止めないのか。

「“夫婦の務め”を果たせていない負い目があるからかもしれません。私の父というのが、元軍人だった人で、そういうことでも匂わせようなら、血反吐を吐くまで殴られたんです。私は20歳のときに好きな人とそういうことになったのですが、連れ戻されて父に殴られた。あの時からもう、“そういうことは必要最低限にしょう”と思ったんですよね」

その時の、信子さんの初恋の相手は、すでに鬼籍に入っているという。

【夫と嫁の不適切な関係は、コロナ禍で加速した……次のページに続きます】

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