取材・文/沢木文

親は「普通に育てたつもりなのに」と考えていても、子どもは「親のせいで不幸になった」ととらえる親子が増えている。本連載では、ロストジェネレーション世代(1970代~80年代前半生まれ)のロスジェネの子どもがいる親、もしくは当事者に話を伺い、 “8050問題” へつながる家族の貧困と親子問題の根幹を探っていく。

* * *

東京都八王子市に住む秋山信子さん(仮名・72歳)は、“見栄っ張りで美人の嫁(43歳)”の存在に老後を脅かされており、今は真剣に熟年離婚を考えている。

次男は顔がよくチヤホヤされて育った

信子さんには、2人の息子がいる。

「長男(45歳)はデキがよくて、大学まで国公立で浪人もしなかった。理工学部を出て一級建築士に合格し、大手ゼネコンに勤務しています。でも独身なんですよね。7月に私たち夫婦と長男のワクチン接種が終わって、それからしばらく経った後“できるうちに親孝行がしたい”と言い、都心の外資系ホテルでびっくりするほど高いお寿司をご馳走してくれました」

問題なのは次男(43歳)だという。

「顔はいいんです。アイドル系の容姿をしていて、幼い頃からちやほやされていた。幼稚園の先生に“将来あっくん(息子)と結婚したいな”などと言われていました。小学校でもスターで、学芸会でローラースケートを履いて踊るアイドルのマネをしたときは、ストーカーみたいな女の子がウチの周りにたむろしていたんです。中学校は女の子の親衛隊ができるくらいモテていたし、高校時代にバイトしたファミレスでは、息子がシフトに入ると売り上げが1.5倍になると、特別手当をもらっていたんです」

写真を見せていただくと、“バタ臭い”というか、昭和の表現で言うと“ソース顔”の中年男性が微笑んでいた。自分でも容姿の良さを自覚している表情だったが、額は後退しており、目じりのシワとほうれい線は深い。

信子さんもアイドル顔をしており、小柄で華奢だ。若い頃は昭和のスター・天地真理さんに似ていると言われていたというのも納得。70歳を超えても少女らしいあどけなさが残る。次男は母譲りの容姿をしている。

「これが長男ね。主人に似ている“醤油顔”(切れ長の目元が涼しげな顔)をしているでしょ。長男は幼い頃は太っていて、次男と常に容姿を比べられていた。だから勉強を頑張ったのかもしれない。母親としては下の子の方がかわいいですからね。長男には申し訳ないことをしたと思っているけれど、やっぱり次男に肩入れしてしまう」

次男は中学・高校とほとんど勉強をしなかった。ガールフレンドが提出物を手伝い、勉強を教えてくれており、カンニングもさせてくれたという。当然、大学進学は夢のまた夢だった。

「主人は高卒で大手家電メーカーに就職し、会社が一部を負担してくれる奨学金で夜間大学を卒業したんです。学歴で嫌な思いをしているから、息子たちには学歴で苦労させたくなかったみたい。次男が“高校を出たらバーテンダーになる”と言ったとき、あの穏やかな主人がパーンってビンタしたんです」

【二浪して、やっとのことで無名の大学に合格したが……次のページに続きます】

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