取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺ったひかるさん(仮名・36歳)は26歳のときに結婚して、現在は旦那さまとお子さま1人の三人暮らしをしています。ひかるさんが現在悩んでいるのは、義両親ではなく自分の両親について。母親の今のお相手とは直接の血のつながりはないといいます。
「母は57歳のときに再婚しました。再婚のときにはすでに私は結婚して家を出ていたし、付き合っていた頃から知っていた人だったので反対はしなかったのですが……」
繰り返していた夫婦ゲンカがあるときからなくなった
ひかるさんは京都府出身で、両親と4歳上に姉のいる4人家族。小さい頃、両親の仲は良かったと振り返ります。
「父は寡黙で、何か率先して動くことはない人で、一方の母は、いつも明るくて家族の中心的存在でした。両親の年齢は父が8つ上だったこともあり、母のことがかわいかったんだと思います。母は家事も不得意で、旅行の予約が取れていなかったり、車で出かけたら車に多少の傷をつけて帰ってくるような人だったんですが、父はそれをいつも笑っていました。一度私が大切に着ていた白いシャツを、洗濯物の色移りでピンクにされたときは泣きながら母親を責めたことがあったんですが、そんなときも父親は母のことを庇っていましたから」
そんな両親の不仲を感じるようになったのは、ひかるさんが高校生の頃。夜中に泣く母親の声が聞こえてきたことが何度もあったとか。
「ケンカは小さい頃もあったけれど、気づいたら仲直りしていたという感じでした。でも高校生のときに覚えているのは、一方的に母親が泣いていた声でした。その声を何度か聞いた後に、パタッと2人が食卓さえ顔を合わさないようになりました。でも、それも離婚すると伝えられて振り返ったときに初めて気づいたくらいで、当時は私も、家よりも外で友だちや彼氏と遊ぶほうが楽しかったし、姉も社会人になったばかりでバタバタしていて、家のことに関心なんてありませんでした」
【成人してからの親の離婚には口出しできない。次ページに続きます】