女性になっていく娘を母親は否定し続けた
しかし、高校生の頃から母親が父親を避けるようになっていきます。父親はいつも通り定期的に家に来ていたそうで久美子さんと2人きりになる時間が増えていったとか。
「2人がケンカをしているところは見ていないので理由はわかりませんが、父が来るときに母親が帰って来なくなったんです。そうなると家で父と2人きりの時間が増えてくるわけで……。私は父を独りぼっちにさせてはいけないと、父の来る日がわかると、アルバイトもいれずに迎え入れるようになっていました。最初こそ父は私に『お母さんはどこに行ったんだ!』と怒りを表していたんですが、それが続くともう何も言わなくなっていって。私に言っても仕方ないという諦めもあったとは思いますが、お互いに気を使っていたんですよね。特に私には、援助をやめられてしまったらどうしようという気持ちがありました」
高校時代に母親からは反対されていたものの、父親に携帯を買ってもらい父親とは定期的に個人的な連絡を取るように。その頃から母親が、自分に対して敵意を示すようになっていったと振り返ります。
「その頃には父はもう家に来なくなっていたので、父に買ってもらった携帯を使って父と連絡を取っていました。仲良くしていたというより、大学に行きたかったという打算的な考えがあって……。母親は父とはほぼ連絡を取っていなかったので、私が携帯を買ってもらい連絡を取っていることが許せなかったのか、私のことを否定してくるようになりました。メイクに興味を持ったりオシャレをしたら『気持ち悪い』、父のことに対しても『女を使って父に媚びて大学に行くのか』と。そんなことを父に相談できるわけもなかったので、私は実家から通わないですむように関西の大学を受験しました。すべて父の援助です」
別々に暮らすことになり、同居中は散々、久美子さんのことを否定し続けていた母親との関係はどうなったのか。
【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。