勉強を強いられるのは学生時代で終わり……ではなかった

美琴さんは両親の期待に応えるように有名高校へ進学。しかし、そこで落ちこぼれてしまい、両親からさらに勉強を強いられるように。遊ぶ時間は一切なかったため、友人もできずに周囲からは孤立してしまったと言います。

「学校と塾、それに家庭教師と勉強ばかりでまったく遊ぶ時間はありませんでした。最初は遊びに誘ってくれるクラスメートはいましたが、何度も断るうちに誘われなくなり、浮いてしまって。親は私の勉強にしか興味がなくて、友人が一人もできなかったことには気づいてもいないと思います」

高校での猛勉強で盛り返し、父親が認める有名大学へ進学するも入学したことで燃え尽きてしまい、卒業はギリギリ。就職では親の期待を裏切ってしまったそう。就職が決まった後も、親は学ぶことに口出ししてきたとか。

「大学でもうまく人間関係が作れず、浮いた存在でした。学校に行くのも楽しくなくて、授業を受けた後は図書館で時間を潰していましたね。

たとえいい大学を出ていても、コミュニケーションがうまくできないやつが就職できるわけないんです。書類では通っても面接ではマニュアルを暗記したような回答しかできずに落ちる。何十社と落ちてプライドもボロボロになったときにやっと拾ってもらえて就職浪人は回避できました。私自身は嬉しかったのに、親からは『勤めながら就職に有利な資格を取り、そこから大手に転職を目指せ』と言って、一切喜んではくれませんでした」

入った企業では覚えることが多く、勉強する時間を捻出することができず。その間も父親からの『もっと頑張れ!』は止まらなかったそう。

「インテリアを扱う企業の販売の仕事をしていたんですが、覚えることが多くて、しかも接客がうまくできなくて勤め先でも周囲から浮いていたと思います。それでも『仕事がうまくいかないと生活できない』という思いがあり必死で頑張ったんです。でも、両親はその努力を認めてくれずに転職のこと、資格のことをチェックするばかり。『そんな会社』とずっと蔑まれました」

子どもには自分と同じように育ってほしくないと思っていたのに……。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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