結婚してやっとなくすことができた母への執着。そのままでいいと認めてくれたのは夫だった

高校3年間、そして専門学校の2年の計5年間を祖父母の家で過ごします。その間に母親からの連絡は一切なし。周りの目を気にして、祖父母の家で生活していることは誰にも言えなかったと言います。

「高校を出て働くつもりだったんですが、祖父母や父が勧めてくれて、資格の取れる専門学校へ進学しました。父からは学生時代に頻繁に連絡をくれていましたが、母親からはまったくでしたね。

一度高校生の時に軽い気持ちで友人に親と別々に暮らしていること、母親に対しての感情を話したことがあったんです。その時に何も知らないくせに、『仲直りの努力をすべき』とか、『普通じゃない』とか言われてしまったことがあって。自分は普通じゃないんだ、誰もわかってくれないんだって思ってから、誰にも話さなくなりました。友人が家に遊びに来ることもありましたが、両親は仕事に行っていると嘘をついていましたね。離れて暮らしていて、母親のことなんかちっとも考えなくなると思っていたのに、学生時代はずっと頭の片隅にいたような気がします」

そして、就職して3年後に祥子さんは同じ職場で働く男性と結婚。結婚について2人であることを決めたそうです。

「子供を作らないこと。結婚前にそう話し合って、彼が納得してくれたので結婚しました。私はどうしても自分が子供を持つイメージができないんです。具体的なことを考えていくとしんどくなってしまって。目を背けてしまうというか。最初は結婚するつもりもありませんでした。でも、彼はそれでもいいからって。いい人に出会えたと思っています」

現在は旦那さんと2人暮らしをしている祥子さんですが、母親とは今も連絡を取っていないそう。「祖父母のお葬式で顔を合わせましたが、それっきりですね。父とは数か月に一度くらいで連絡を取っています。旦那さんが『家族と折り合いが悪くたっていい。もう努力しないでいい』と言ってくれたことで心が楽になりました。母親はたまたま血がつながっていただけでわかり合える関係じゃなかったんです。自分はおかしい、歩み寄らなければという呪縛がなくなったので、今は父親との連絡も気を使っていません」と吹っ切れたような笑顔で語ります。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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