土地などの不動産を相続したあと、使うことなく眠ったまま固定資産税を払い続けてはいませんか?

いずれは売りたいと考えていても、具体的に何から手を付ければいいのか分からないという方も多いかもしれません。

土地を売るときの方法としては、「古家付き土地」として売り出すか「更地」として売り出すかの大きく2種類存在します。

それぞれの売却方法のメリット・デメリットや、土地を売るときの基本的な流れを知って、不要な土地をスムーズに売却できるようにしておきましょう。

土地を売るときの流れ

実際に土地を売却する際の流れについて見ていきましょう。

土地に限らず、戸建てやマンションも含めて不動産の基本的な売却の流れはこのようになっていますが、実際は不動産会社に査定を依頼する前に自分で情報収集することも非常に大切です。

1. 売却する土地の詳しい情報を知る

土地を売却する手続きに入る前に、売却する土地の性格、性質について調べておくことが大切です

例えば、土地は住居専用地域なのかそれとも商業地域に入るのか。あまりあり得ることではありませんが、念のために「市街化調整区域」でないことも確認しておきましょう。

「市街化調整区域」に指定されていた場合は、思い切った値下げを覚悟してください。また、お隣との境界線がはっきりしているのかも重要です。

また、もし境界線があいまいなままだった場合は、お隣さん同士で話し合って「境界確定」という手続きをする必要があります。

2. 売却する土地の適正価格を調査

土地を売却すると決めたら、その土地の適正価格を調べておくようにしましょう。

適正価格は、正しい値段で土地を売りに出す際に欠かせない情報。調べるには「国土交通省地価公示」で大まかな土地の価格を調べる方法と「不動産取引価格情報検索」で実際に取引された土地の価格を調べる方法、「全国地価マップ」で調べる方法などがあります。

3. 信頼できる不動産会社へ土地の売却を依頼

売却する土地の適正価格や情報を理解したうえで、信頼できる不動産会社へ依頼しましょう。

売主が土地の適正価格を理解していれば、不動産会社との価格設定の話し合いがスムーズです。話し合った結果、価格設定に納得したら不動産会社と媒介契約書を交わします。

4. 不動産会社と媒介契約の締結

信頼できる不動産会社と媒介契約を締結しましょう。媒介契約には、専属専任媒介契約と専任媒介契約、一般媒介契約の3つがあります。

専属専任媒介契約と専任媒介契約は不動産会社を専任する契約書のため、他の不動産会社と契約できません。

5. 不動産会社による売却活動

媒介契約を結んだら、不動産会社に土地の売却活動を開始してもらいましょう。

全国に約68,000社ある不動産会社のネットワーク「指定流通機構(レインズ)」に土地の売却情報を公開してもらうことで、あなたの土地が売りに出されていることが世の中に知られることとなります。

6. 土地の売買契約の締結・引き渡し

土地の購入者が見つかって条件が合えば、土地の売買契約書を締結します。このとき買主から価格交渉がある可能性があるため、いくらまでなら値下げできるかあらかじめ決めておくと良いでしょう。

重要事項説明など専門的な手続きは、依頼している不動産会社が行います。

引き渡しが完了したら指定した銀行口座へ購入者から代金が振り込まれ、売却完了です。

土地を売却し、売却益が出た場合は翌年に確定申告をする必要があるため忘れないようにしましょう。

「古家付き土地」「更地」どちらで売り出す?

土地を売るときの状況として、何も建物が建っていない更地の場合と、すでに古い家が建っている場合が考えられます。

後者の場合、建物を解体して更地として売り出すか、「古家付き土地」としてそのままの状態で売り出すかかの2パターンから選ぶことが可能です。

また、買い手がつきにくそうな土地であったり、早く現金化したい場合は買取という選択肢もあります。

それぞれの売却方法のメリット・デメリットについて知っておきましょう。

「古家付き土地」として売るメリット・デメリット

家の資産価値は築年数が経過するにつれて下がっていき、築40年を超えると建物自体の価値はほぼゼロになると言われています。

このような価値がゼロの古い家を「古家(ふるや)」といい、土地の場合は「古家付き土地」と呼ばれます。

まずは古家付き土地として売却するメリットとデメリットをご紹介します。

古家付き土地として売るメリット

古家付き土地として売るメリットは、解体する必要がないため解体業者に依頼する手間や費用がかからないことです。

解体費用の相場は一般的な一軒家で100~150万円だと言われています。決して安くはない金額のため、「解体したものの買い手がつかないかもしれない」といった心配をしなくて良いのは心理的な負担を軽減できるでしょう。

また、建物があることで固定資産税や都市計画税の減税措置を受けることができます。

古家付き土地として売るデメリット

古家付き土地として売却した後に、買主に説明していなかった瑕疵(欠陥)が見つかると瑕疵担保責任(契約不適合責任)を問われるリスクがあります。

たとえば買い手が解体工事をしたことで埋没物が見つかり、事前にその情報を伝えていなかった場合は瑕疵担保責任の対象に値します。契約解除や損害賠償を求められる可能性があるため、売主は契約時にすべての情報を伝えられているか注意するようにしましょう。

そのほか、土地の購入を目的としている買主からすると解体する手間と費用がかかるため、売れるまでの期間が長引くことも考えられます。

更地にして売るメリット・デメリット

古家付き土地で売り出してもなかなか買い手がつかないようであれば、更地にして売ることも検討してみましょう。

更地にして売ることのメリット・デメリットは以下の通りです。

更地にして売るメリット

老朽化が激しいなど、買い手の方から見て良くない印象を受ける可能性が高い場合には、更地にした方が活用のイメージが湧きやすくなります。

すぐに建設に取り掛かることができるため、比較的買い手がつきやすいのも更地にするメリットだと言えるでしょう。

更地にして売るデメリット

更地にして売ることのデメリットは、解体費用がかかってしまう点です。売却価格を設定する際に解体費用を上乗せすることもできますが、相場より高くなることで結果的に売れ残ってしまうこともあり得ます。

また、あまりないケースですが、家が建っているのが市街化調整区域の場合、一度家を解体してしまうと新しく建物を建てることができなくなります。

解体する前にご自身の土地が市街化調整区域に含まれるかどうか確認しておくと良いでしょう。

相続した土地を売るときの注意点

土地を売るときのケースとして多いのが、「親から土地を相続したが、使う予定がないので売却したい」というもの。
相続した土地を売るときに気を付けるべき注意点を2つご紹介します。

相続登記されているか確認する

まず確認したいのは、相続した土地の名義変更が完了しているかどうかです。
相続登記には期限がないため、被相続人が亡くなって相続が発生したものの、登記を忘れてそのままにしていた……というケースも少なくありません。

名義人が亡くなった方のままになっていると売却できないので注意しましょう。

特例を利用するなら3年10か月以内に売却する

相続した土地を売却して得た利益には、通常の売却と同様に譲渡所得税がかかります。

ですが、「取得費加算の特例」を適用することで、譲渡所得税を節税することが可能です。

「取得費加算の特例」とは、相続が発生してから3年10か月以内に売却すれば、相続税額の一定金額を譲渡資産の取得費として加算することができ、譲渡所得税から控除できるというもの。

相続税が発生している場合、3年10か月以内の売却をおすすめします。

土地をはじめ不動産の売却を経験したことのない方にとっては、ハードルが高く感じるかもしれません。ですが、ご紹介したような特例を使えば税金を抑えつつ確実に売却することは可能です。

固定資産税の支払いも、何年も積み重なれば家計を圧迫することになりかねません。

今後も使う予定がない土地なのであれば、売却に向けて踏み出してみてはいかがでしょうか?

掲載元URL: https://ieul.jp/column/articles/472/

 

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