妹の授かり婚で対照的な両親の反応。厳しい父親が見せた笑顔と、心から喜んではいなかった母親
父親に勉強をチェックされているという緊張感から3兄妹とも優秀な成績をキープして、有名大学へ進学します。その頃には自宅の塾だけでは厳しくなり、父親も別のところに勤めるようになっていて、干渉もなくなっていたとか。
「大学受験のときから別の予備校に通って、父親に勉強を見てもらうことはなくなっていました。父親は家の塾の生徒数が減っていたこともあり、別の場所で雇われながら教えていたみたいで家にいる時間も夜だけになり、週末はよその子を家でマンツーマン指導していました。あれだけ干渉してきた父親が、忙しそうに私たち以外のことばかりになってしまったことに対して妙な違和感があって。不思議と少し寂しく感じていましたね」
兄は大学卒業後に地方で就職して、美嘉さんは都内の企業に就職。妹は地元に残って一度は就職したものの2年後にはできちゃった婚をします。その事実を告げられたときに想像したのは父親の怒り顔だったそうですが、実際は終始笑顔で孫の誕生を喜んでいたと言います。
「父親にどう報告したらいいかと妹から相談の電話をもらったとき、私も関係ないけど恐怖でビビッてしまって、まったく良いアドバイスができませんでした。妹にお願いされて私の帰省時に報告することになったんですが、父親は拍子抜けするほど普通で。その後挨拶に来た妹の旦那さんにも気さくな対応で孫の誕生を喜んでいるように見えました。そのときに母親も喜んでくれていたんですが、私にだけ『一生懸命育てていい大学にまで行かせてあげたのに2年で結婚するとか、お父さんがかわいそう』と言ったんですよ……」
父親の影に隠れていた母親の本性。私は「かわいそうな」大人になってしまったのか。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。