告知を1人で受けたことを「えらい」とほめてくれた

そのまま一人暮らしを続けていた中、4年前に乳がんが発覚。診断結果はステージ2。すぐに手術することになったそうですが、そのことをしばらく両親には伝えられなかったと言います。

「心配をかけたくなくて。私のことで悩むような日を作ってほしくなかったんです。でも、当時も月に1度くらいの週末は実家に帰って一緒に過ごしていましたし、手術には数日の入院も必要だったので、隠してきれず……。伝えたのは退院後です。退院後に実家に戻ったときに手術後の胸元を隠し切れないと思って伝えたんですが、父親は『リンパなどに転移は?』と慌てていた一方で、母親は『1人で告知を受けて、1人で頑張ったんやね。えらい』とほめてくれて。親の前であんなに泣いたのは小学生以来だったんじゃないかな。乳がんを告知されてからも初めてあんなに泣きましたね」

その後ホルモン治療など、美子さんの乳がんには長い治療が必要になり、現在も毎日薬を飲み、定期的な検査を続けています。その中で結婚に踏み切ることができたのも、両親のおかげだったそう。

「ホルモン治療をしている期間は子どもは望めません。年齢も年齢で、投薬は早くて5年、長ければ10年続きます。それにガンになったということを相手のご両親に受け入れてもらえるわけないと、今の夫との元気な頃に交わしていた結婚の約束にも上手に返事をできなくて。そんなときに両親から『そんなに一緒にいる相手と子どもについてなどちゃんと話し合いなさい』と言われました。両親は私がいくつになっても結婚しろとは言わずに『したかったらすれば』みたいな感じだったので、その言葉はもちろん、結婚したいと自分から自然に思うように仕向けてくれたことには感謝しています。義両親にも病気のことを伝えて、受け入れていただいています。病気のおかげで……なんて病気になったことを感謝はできないけど、両親に頼ることを思い出すきっかけにはなってくれたのかなって思っています」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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