取材・文/ふじのあやこ
家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺ったのは、都内で一人暮らしをしている真奈さん(仮名・38歳)。埼玉県出身で、両親と5歳上に兄のいる4人家族。中学のときに遭ったいじめによって、真奈さんの中では味方の母親と、限りなく他人に近い父親という構図ができてしまいます。
「母親は私が学校に行きたくない気持ちに気づいてくれて、そしてそれでも学校に行くと決めた私の思いにも寄り添ってくれました。一方の父親は、その間も私の状態を知っているのかさえもわかりませんでした。学校に行かずにいた私に何かを言うこともなく、不思議そうな顔をして私のことを見ていました」
11歳上の上司と付き合い、そのまま結婚へ
クラス替えで中学3年の頃にはいじめは解消されますが、そこからは人の顔色ばかり気にする子になってしまったと自身を振り返ります。
「母親と学校の先生が話し合って、私をいじめていた主犯の子たちとクラスを一緒にしないようにしてくれて、3年では新しい友人にも恵まれました。でも、やっぱり素直な気持ちを言ったら嫌われてしまうんじゃないかなって思いが拭いきれなくて、周りに合わすことばかり覚えましたね。無理に合わせているから、学校外で会いたいとも思えなくて、今大人になってつながっている子なんて1人もいません。高校も大学でも同じような友人関係しか作れなくて、大学のときの友人が1人だけ今もつながっていますが、相手が誘ってくれたら会えるような関係です。私からは誘えない理由は、断られたら嫌なのか、それともそこまで会いたいと思っていないのか、よくわかりません」
就職先は都内にあるIT企業。営業事務として採用され、そこで元旦那さまと出会います。
「元夫は私の上司で、年齢は11歳上です。出会ったときにはバツイチで別居中のお子さんが1人いました。第一印象は優しそうな人といった感じで、仕事で怒られることもなく優しく教えてくれて、周囲の評価も信頼も高かったです。
恋愛関係になったのは一緒に働いて1年ほど経ってからです。急に食事などに誘われるようになって、付き合ってほしいと言われました。最初は好きという感じではなかったんですが、断る理由もなかったので。2年ほど交際して籍を入れました」
【モラハラ夫に耐え続けた10年。父の「帰って来い」に救われた。次ページに続きます】