かみ合わない夫婦、親子、祖母と孫
そんな中、義母からの2人目の催促が始まったそう。すでに夫婦生活はなく、話し合いで2人目を作らないことを決めた矢先の猛プッシュでした。
「私の中には2人目ももちろん欲しかったのですが、夫からは『今の子のように手術を経験させたくない』と拒否されたんです。まるで私のせいで健康な子を産んであげられなかったと言われているような気分でした。でも、今の子を精一杯愛してあげたいと私自身も思って、夫の意見を受け入れました。
それなのにその直後ぐらいから義母からの2人目催促が始まって……。夫から言ってもらったんですが、それでも折れてくれないんです。しかも夫には強く言いにくいのか、私だけに2人目のことをしつこく説得してくるんですよ。1人で産めるものじゃないのに」
説得には時間を要したものの、夫の弟夫婦が子どもを産んでくれたことで落ち着いたそう。慶子さん夫婦のお子さんも過剰な心配を裏腹に元気に育っていきます。しかし、次に家族間で新たな問題が発生したとか。
「子どもがまったく夫に懐かないんです。夫は大きくなって、娘が意思を持ち始めてからどう接したらいいかわからなくなったのか、子育てに参加しなくなりました。家に帰ってきてもすぐに自分の部屋に籠るようになったんです。そのときには私も子育てだけで必死だったし、夫婦仲が冷めてしまっていることにも目を背けていたので。まるで親子2人暮らしみたいな状態が続きました。それでも家では快適に過ごせていたんです。家では」
そして、最初に語られた慶子さんの苦悩へと続いていきます。
「義両親からしたら、自分の息子にまったく懐いていない孫が認められないんでしょう。確かに私にも至らなかった部分はありますが、すべて私のせいにされるのには納得できません。近場で暮らしているから定期的に用事を作って家に来るように仕向けられ、義両親が毎回期待しているような修復ができていないと私が責められる。『慶子さんから言って』『慶子さんがきっかけを作って』などの言葉は、もううんざりです。
それに近所なだけあってコロナもお構いなし。さらには夫がリモートワークになって家はさらに息苦しいものになっています。娘ももう親と一緒に行動するのが恥ずかしい年齢です。このまま干渉を続けたら私まで娘に嫌われてしまいそうですよ」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。