今やシニアのたしなみとも言われる「終活」。エンディングノートや身辺整理などその内容は多様です。しかし、耳にする機会が多いだけに実態がどういったものなのか疑問を抱いている人も少なくありません。相続弁護士ナビ(https://souzoku-pro.info/magazine/38/)では、15歳以上の男女1000名を対象に、終活に関するアンケートを実施しました。アンケート結果をもとに、終活の実施状況・取り組み内容・終活を始めるべきタイミングなどの調査内容を紹介します。

■実際に終活をしている方はわずか5%

まず終活の実施状況について尋ねたところ、「実際に終活をしている」という回答はわずか5%という結果でした。ただし「終活をしてはいないが興味はある」という回答も46%あり、全体の約半数は終活に興味を持っていることが分かります。現在の日本において「終活」が広まった理由としては、医療の発達により高齢者の方々が、自分の亡くなった後のことを考えるための時間を十分に持てるようになったことが挙げられます。つまり、遠くなった「死」に対して、十分な備えをする時間ができたということです。ただ時間が十分にある中でも、いざとなると何から手をつけたら良いのか分からないという人も多いようです。

■全体の85%が「宗教を信仰していない」と回答

家系の信仰する宗教によって、葬式や墓参りの方法には大小さまざまな差異があります。そこで宗教の信仰に関する調査も実施しました。結果は「何も信仰していない」という回答が85%、「宗教を信仰している」という回答が15%でした。ちなみに無宗教者のうち「終活をしている」「終活に興味がある」と回答したのは49%、宗教信仰者の場合は69%と、無宗教者に比べて宗教信仰者の方が終活を意識している傾向があります。

■終活の内容や相談は?

▶終活では「預貯金・保険・貴重品などの管理」に関する取り組みが最多

また「終活をしている」「終活に興味がある」という方を対象に、現在取り組んでいる内容・興味のある取り組みを尋ねたところ、「預貯金・保険・貴重品などの管理」という回答が62%で最多でした。それに次いで「エンディングノート」「葬儀・お墓」などが多く、一方で「遺言」「介護」「デジタル遺産」は比較的少ない傾向が見られました。金銭や遺産の管理・相続の観点が最も注目されていることがわかります。ちなみに「エンディングノート」とは、自分のこれまでの人生を振り返り、残りの人生のあり方を考えるためのノートです。また、亡くなった後の希望・要望を書くこともあります。ノートできちんと言葉にすることで、考えが整理されるのですね。

▶終活で最も選ばれる相談先は「親友・友人」

悩みや上手くいかない場合、終活の相談は誰にするのが一般的なのでしょうか? 「終活をしている」「終活に興味がある」という方を対象に、終活の相談先について尋ねたところ、「親友・友人」という回答が33%と最多でした。弁護士や終活カウンセラーなどの専門家に頼るよりも、普段から自分のことをよく知っていて馴染みのある人間に頼る方が多いことが分かります。その他、お寺や葬儀社、自治体に相談するケースもあるようです。

■終活を始めるきっかけやタイミングは?

▶終活のきっかけは「家族に迷惑をかけたくないから」が63%で最多

同様に「終活をしている」「終活に興味がある」という方を対象に、終活に興味を持ったきっかけを尋ねました。すると「家族に迷惑をかけたくないから」という回答が63%と最多で、「健康なうちに整理したいから」が58%、「いつ何が起こるか分からないから」が57%と続きました。終活は、自身の健康への不安以上に、家族への愛を表しているのですね。また「これからの人生をよりよくしたいから」という回答も16%あり、終活をポジティブに捉えて取り組んでいる方も若干数いることがうかがえます。

▶全体の40%が「終活は興味を持ったときに始めるべき」と回答

それでは、いつどんなタイミングで終活を始めればよいのでしょうか? 終活を始めるタイミングを尋ねたところ、「興味を持ったとき」という回答が40%と最多でした。ただし「興味を持ったとき」と回答した方のうち「興味を持っているけどやっていない」という方も多数おり、終活の重要性を理解していながら実行にまで移せていない方もいることが伺えます。年齢別に見ると、20~40代までに行う人は5%以下ですが、50代にぐっと増え、60代に始める人数がピークになります。反対に80代になってから終活を始める人は、2%と少なくなっています。

 ***

いかがだったでしょうか? アンケート結果によると、世間における終活の認識が広がっている一方で、実際に実行できている方はほんのわずかであることが分かりました。「終活」という言葉は、2009年に雑誌の記事タイトルに用いられたことがきっかけで広がったと言われています。そこでの「終活」とは「自分の最期の時に向かって、もっと自己主張してもいいのではないか」という、新しい価値観を提唱するものでした。「終活」という言葉には自分らしく生きることへの肯定が込められているのですね。

■調査概要
実施期間:2020年9月
対象者:15歳以上の男女1000人
対象方法:webアンケート

 

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