不倫電話から始まった母親の過干渉。否定しながらも側から離れない
中学校に上がった頃に、家に父親の不倫相手から電話があり、それを麻子さんはとってしまったとか。不倫相手だという事実は母親から伝えられたと言います。
「父親が帰ってくる前で普通にかかってきた電話をとっただけです。最初は仕事関係の人だと思っていました。まだ携帯がそこまで普及していない時で、私は父親の仕事相手だと思っていました。なので、軽い気持ちで母親に電話のことを伝えたんです。そしたら母親から『それお父さんの不倫相手』と。その時は母親に伝えてしまったという罪悪感がすごくありました。
その一言から母親が吹っ切れたのか、私の前で父親の悪口を言うようになったんです。父親のことを『財布』と呼んでいました。そして、私が大きくなるまでは離婚しないと。こんな関係になっても一緒にいるのは、足かせになっている私のせいなんだなって思わされていました」
母親の希望で大学に進学した麻子さん。前述の罪悪感もあり、母親に強く言うことができなくなっていきます。
「私は高校卒業後に働こうと思っていたのですが、母親が就職に有利になるからと大学を勧めてきて、それに従いました。幸い、勉強はできたんですよ。父親が不倫していると気づいてからは、私は父親のことが生理的に無理になって、避けるようになりました。そして逆に母親との結びつきは強くなっていった気がします。私がちゃんとした大人になって、稼げるようになれば母親と父親を引き離せると思ったんです。でも、母親は私に固執しているようで、実は父親の代わりでしかなかったんだと思います。母親は小さい頃から常に私を批判するような言葉を口にしていました。何か習い事がしたくても『きっと続かない』、資格の受験に失敗した時も『ダメだと思っていた』などです。私は徐々に母親のことを疎ましく思うようになっていきました」
就職後も続く母親の過干渉に父親の無関心。20代後半になっても母親は家を出ることを許してはくれなかった。 【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。